コンビニ24時間営業問題の深層!経産省改革案に潜む「会計システム」の闇とオーナーの憂鬱とは?

コンビニエンスストアの24時間営業や食品ロス問題など、業界が抱える深刻な経営課題を議論する有識者検討会が注目を集めています。事務局を務める経済産業省は2019年12月下旬に報告書の骨子案を公表しました。そこには、従来の一律で画一的な店舗運営を見直し、加盟店側に柔軟な経営を認めることや、本部に対してオーナーとの対話強化を求める方針が示されています。しかし、この改革案には現場の不満を根本から解消するには至らない、いくつかの決定的な視点が抜け落ちているようです。

近年のコンビニ業界では、深刻な労働力不足や人件費の高騰によって、24時間営業を維持することに限界を訴えるオーナーが急増しています。さらに、消費期限が迫った商品を大量に捨てるフードロス問題も、社会的な非難の的となってきました。ネット上でも「オーナーの労働環境がブラックすぎる」「食品廃棄のコストをオーナーが背負わされるのはおかしい」といった、本部への批判やオーナーへの同情の声が絶えません。有識者検討会はこうした諸問題に終止符を打つべく立ち上がったはずでした。

[b]オーナー選びの厳格化という盲点[/b]

まず見過ごされているのが、オーナー自身の素質や覚悟に関する問題です。本部の経営ノウハウを享受する対価として、加盟店が支払うロイヤルティーフィー(経営指導料)の仕組みは、かつて「成功のパッケージ」と称賛されました。マニュアル通りに動けば生活が安定する設計ゆえに、契約した瞬間に成功したと錯覚し、いざ現実に直面して「こんなはずじゃなかった」と後悔する脱サラ組のオーナーが後を絶ちません。顧客のクレーム対応や万引き対策、トイレ掃除といった過酷な現場を前に、呆然自失となる未経験者も多いのです。

かつての昭和の時代には、酒屋や米屋を営んでいた商売のプロがコンビニへ転換したため、接客や店舗管理の苦労を熟知していました。一方、平成以降に急増した脱サラ組に対して、本部は説明会で「丁寧なマニュアルがあるから安心」と甘い言葉を囁き、オーナーという肩書で優越感をくすぐってきた側面もあります。それにもかかわらず、今回の経産省の骨子案には、オーナー予備軍の資質を厳密に見極めるべきだという指摘や、本部の選考基準の厳格化を求める声はどこにも盛り込まれていません。

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若き指導員との溝と、聖域化されたコンビニ会計

さらに、店舗運営をサポートする本部の店舗指導員と、オーナーとの間のコミュニケーション不足についても、骨子案の踏み込みは極めて不十分です。各社の指導員は30歳前後がボリュームゾーンであり、数年の店舗経験を経て現場を任されます。対するオーナーは大半が40代以上であり、ここに深刻な世代間ギャップが生じるのです。夜も寝ずに働くオーナーと、夜間に巡回する指導員の間で感情的な衝突が起きるのは必然でしょう。本部は年齢の近い指導員を増員するなど、オーナーが孤立しない人事制度を早急に整えるべきです。

そして、今回の改革案で最も拍子抜けしたのが、コンビニ経営の心臓部である「コンビニ会計」という特殊な仕組みに一切触れていない点でしょう。通常、煩雑な経理を本部が代行することでオーナーは販売に集中できるとされています。しかし問題の本質は、24時間営業に伴う光熱費などの経費構造や、売れ残って廃棄した商品の原価をどのようにオーナーと本部で負担し合っているかという不透明さにあります。これこそが、多くのオーナーを苦しめる元凶にほかなりません。

現場を取材してきた立場から言わせてもらえば、現在の有識者検討会はオーナーの切実な悲鳴に耳を傾けるあまり、目の前の症状を抑えるだけの「対症療法」に終始している印象が否めません。複雑怪奇な会計システムという本丸に切り込まなければ、フランチャイズ契約の抜本的な見直しは不可能です。日本にコンビニが誕生して半世紀近くが経過し、激しい変化に対応してきたはずの業界が、制度疲労を起こした会計システムを聖域化し続けてきたこと自体、猛省すべきでしょう。

令和の新しいコンビニ像を築くためには、表面的な営業時間の短縮だけでなく、持続可能な利益配分の仕組みを再構築する提言が不可欠です。近くまとまる最終報告書に、この抜け落ちた重要課題がどれだけ盛り込まれるのか、私たちは厳しい目で注視していく必要があります。

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