世界最大級のテクノロジー見本市「CES」が2020年1月10日に閉幕を迎えました。米中貿易摩擦という激しい逆風が吹き荒れる状況下でも、中国の主要家電メーカーは圧倒的な存在感を示しています。ネット上では「この価格破壊は凄すぎる」「5Gの世界地図が塗り替わるかも」といった驚きの声が続出しました。
特に注目を集めたのが、中国の家電大手であるTCL集団のブースです。2020年1月8日、担当者が熱を込めてアピールしていたのは、次世代通信規格「5G」に対応した最新スマートフォンでした。1000ドルを超える超高級路線が主流の5G市場において、なんと500ドル(約5万4000円)を切る驚異的な低価格を実現したのです。
ここで使われる5Gとは、超高速・大容量・低遅延を特徴とする第5世代移動通信システムの専門用語です。TCLはすでにテレビ分野で世界2位に躍進しており、その原動力は巨大な米国市場にあります。同社は戦略スマホを本国よりも先に米国へ投入する「米国ファースト」を貫き、さらなる攻勢をかけています。
貿易摩擦を回避するタフな中国家電と忍び寄るソフト分野の影
ハイアールやハイセンスなども広大な展示スペースを確保し、米国向け製品の手応えを掴んでいます。トランプ米政権は2018年7月から2019年9月にかけて、総額3700億ドル相当の中国製品に最大25%の制裁関税を課しました。しかし各社は、メキシコやベトナムへ生産拠点を移すことで、この危機を巧妙に回避しています。
その一方で、ソフトウェアやITの根幹を支える分野では深刻な「分断」が始まっています。今回はアリババ集団や京東集団(JDドットコム)といったEC大手が姿を消し、制裁対象である華為技術(ファーウェイ)も出展を大幅に縮小しました。米国のビザ発給厳格化により、出展を断念したスタートアップ企業も後を絶ちません。
現代のテクノロジーは、ハードウェアとソフトウェアが一体となることで進化を遂げます。これらが切り離される「デカップリング(経済分断)」が進めば、業界全体のイノベーションが停滞しかねません。中国の優れた開発成果を排除することは、最終的に最先端技術を享受する世界中の消費者に不利益をもたらすと考えます。
2019年12月13日に米中は貿易協議の「第1段階」で合意し、2020年1月15日には署名式が予定されています。中東情勢の緊張も高まる中、この「雪解け」が世界経済にどう影響するかが注目されます。対立を乗り越え、消費者が主役となる健全な技術競争の場が維持されることを切に願ってやみません。
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