世界経済を揺るがし続けてきた巨大国家同士の衝突に、ついに1つの大きな節目が訪れました。アメリカ通商代表部は2020年1月15日、約90ページにも及ぶ米中両国の「第1段階の合意」文書を白日の下に晒したのです。
この歴史的な合意により、国際市場のパワーバランスが大きく塗り替わることは間違いありません。ネット上でも「これで世界景気は回復に向かうのか」「形だけの約束に終わらないか」など、今後の展開に期待と不安が入り混じった声が無数に飛び交っています。
今回の決定において最も注目すべきポイントは、中国側による常軌を逸した規模の「爆買い」約束です。中国は今後2年間で、2017年の実績と比較して総額2000億ドル、日本円にして約22兆円を超えるアメリカ産の製品やサービスを追加で買い入れることになりました。
具体的には、航空機や自動車といった工業製品を777億ドル、大豆や綿花などの農産品を320億ドル、液化天然ガスといったエネルギーを524億ドル、さらに金融やクラウドサービスを379億ドルも上乗せして市場を受け入れる方針です。
膨大な貿易赤字に悩まされてきたアメリカ側からすれば、このリバランス(不均衡な関係を是正し、双方が納得のいく対等なバランスへと再調整すること)は長年の悲願でした。この巨額な取引が順調に進めば、歪んだ両国の経済関係が正常化へ向かう起爆剤となるでしょう。
さらに、長年アメリカ企業を苦しめてきた知的財産権の侵害問題にも、ようやくメスが入ることになります。これまではネット上のハッカーや元従業員による機密情報の持ち出しが横行し、アメリカの産業競争力を著しく削いできた背景が存在しました。
今回の合意では、企業の貿易秘密を盗み出した直接の犯人だけでなく、それに関わったあらゆる個人や法人に対して民事賠償を請求できるよう、法的な包囲網を広げることが義務付けられます。海賊版や偽ブランド品を扱うオンラインショップの即時排除も盛り込まれました。
もう1つの核心である「技術移転の強要」についても、極めて厳しい禁止令が敷かれる見通しです。これまで中国市場へ参入する外資企業は、現地の行政承認や利益と引き換えに、自社の最先端技術を中国企業へ渡すよう事実上の圧力をかけられるケースが多発していました。
今後はこうした不当な要求を一切禁止し、すべての技術取引はあくまで企業同士の自発的な合意に基づくものと規定されます。国家が裏で糸を引いて海外の先端技術を奪い取るような投資活動にも、明確なストップがかけられることになりました。
食の安全や金融分野の開放も加速します。中国側は科学的な根拠のない理不尽な食品安全規制を撤廃し、小麦やトウモロコシの関税の仕組みを改善するほか、2020年4月1日までに証券や保険といった金融サービスにおける外資への出資規制を完全になくす約束を交わしました。
通貨政策に関しては、お互いの自主性を尊重しつつも、自国の輸出を有利にするための意図的な「通貨安誘導(為替レートを不正に操作して自国通貨の価値を下げ、貿易競争力を高める行為)」を厳しく控えることで一致しています。
この約束が本当に守られるのかという懸念に対し、両国はアメリカ通商代表部のトップと中国の副首相が率いる「貿易枠組みグループ」を新設しました。さらに財務長官クラスによる経済対話も復活させ、合意内容の履行を厳格に監視していく構えです。
メディアの視点から言えば、今回の合意は一見するとアメリカの大勝利ですが、中国がこれほど膨大な輸入公約を本当に達成できるのかは不透明です。構造改革の実行度合いによっては、再び両国が激突するリスクもはらんでいると言わざるを得ません。
世界中が固唾をのんで見守るこの合意が、一時的な休戦にとどまるのか、それとも真の協調への第一歩となるのか。張り詰めた緊張感の中でスタートした新しい米中関係の行方から、今後も一瞬たりとも目が離せそうにありません。
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