阪神淡路大震災から25年を迎えた神戸のいま。被災者支援の高齢化と記憶を未来へつなぐ次世代へのバトンパス

1995年1月17日に発生し、6434人もの尊い命が奪われた阪神淡路大震災から、2020年1月17日でちょうど25年という節目を迎えました。被災地では各地で追悼の祈りが捧げられていますが、四半世紀が経過した現在、被災者を支える活動の継続や記憶の風化防止が大きな壁に直面しています。SNS上でも「もう25年も経ったのか」「震災を知らない世代が増える中でどう伝えるべきか」といった切実な声が数多く上がっており、教訓の継承を巡る議論が活発に行われているようです。

危機の背景にあるのは、震災直後から現場を支え続けてきたボランティアや支援者たちの高齢化に他なりません。神戸市を拠点に震災の9日後から被災者支援に奔走してきたNPO法人「よろず相談室」の理事長を務める牧秀一さんは、2020年3月末をもって引退することを決めました。自身の年齢に加え、これまで深く関わってきた多くの被災者を見送ってきたことによる精神的な消耗が理由だといいます。しかし、支援の灯を消さないための前向きな動きも始まっています。

牧さんが行ってきた高齢者の見守りや手紙を送る活動は、若い世代へと引き継がれる予定です。「高齢者は何よりも話し相手を求めており、自分もその年齢になって痛感する」と牧さんは語ります。誰にも看取られずに亡くなる「孤独死」という社会問題に向き合い続けた経験から、困ったときに電話一本で繋がれる存在の大切さを訴えており、この温かい人間関係の維持こそがコミュニティの孤立を防ぐ鍵になるのではないでしょうか。

その一方で、時代の波に抗えず活動を終了する団体も現れています。神戸市の市民グループ「週末ボランティア」は、主要メンバーの高齢化と参加者の減少により、2019年3月に仮設住宅や復興住宅への訪問活動を休止しました。約24年間にわたり被災者に寄り添い続けた活動の幕引きは、ボランティア活動を個人の善意だけに頼ることの限界を示しているようにも感じられ、社会全体で支援体制を支える仕組み作りの必要性を痛感させられます。

また、追悼イベントの規模縮小も深刻な課題です。「市民による追悼行事を考える会」の調査によると、2020年1月17日前後に開催される関連行事は60件にとどまりました。2010年の102件、2015年の110件と比較すると4割以上も減少しています。通常であれば節目となる年は行事が増える傾向にありますが、主催団体の中心メンバーの高齢化や、活動資金の獲得が難しくなっている現実が浮き彫りになりました。

こうした逆風の中でも、追悼のあり方は進化を遂げています。最近では若い世代にも震災の記憶を分かりやすく届けるため、音楽コンサートや絵画などの展示会といった親しみやすいイベントへとシフトする傾向が見られるようになりました。さらに、存続が危ぶまれていた諏訪山公園での早朝の追悼行事は、トランペット演奏を続けてきた松平晃さんの熱意に応え、若いリーダーが率いる実行委員会が2020年の運営を継承し、次世代への見事なバトンパスが行われています。

専門家である兵庫県立大学大学院の阪本真由美准教授は、学校や企業で震災を知らない世代へ体験を語る機会を継続し、新たな語り手を増やす重要性を指摘しています。過去の災害を教訓として学び、未来の被害を最小限に抑える「防災教育」の視点からも、記憶の継承は命を守るために不可欠です。震災を経験していない若者たちが当事者意識を持ち、自分たちの表現で悲劇を語り継いでいくことこそが、これからの防災先進都市を作る基礎になるでしょう。

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