世界の食卓を支える小麦の国際相場が、にわかに活気付いています。投資家の指標となるアメリカのシカゴ市場において、小麦の先物価格がわずかに上昇しました。2020年01月08日の終値は1ブッシェルあたり5.52ドルを記録し、今週の初めと比較して0.5%ほどの値上がりを見せています。この背景には、世界経済を揺るがしてきた米中貿易摩擦に、極めて大きな進展の兆しが見えてきたことが関係しているのです。
市場が最も注目しているのは、2020年01月15日に予定されている米中両国による貿易協議の合意署名に他なりません。この歴史的な節目を前に、同じ穀物市場では大豆の国際相場が先行して値上がりしました。これに引っ張られる形で、性質の似ている小麦にも買い注文が集まる「連れ高」の現象が起きています。SNS上でも「大豆につられて小麦も上がってきた」「米中和解で穀物市場全体に活気が戻るかも」といった期待の声が寄せられていました。
オーストラリアの干ばつと中東情勢の緊迫化がもたらした価格の乱高下
小麦の価格上昇は、ここ最近の突発的な動きだけではありません。アメリカ農務省が2019年12月に発表した穀物需給報告では、主要な生産国であるオーストラリアの2019年から2020年における穀物年度の輸出見通しが下方修正されました。同国を襲った深刻な干ばつが原因であり、供給量が減るという見立てから、もともと小麦の価格は上昇基調にあったのです。そこへ世界的なイベントが重なり、相場の波はさらに大きくなりました。
実は2020年の年明け早々には、米国とイランによる大規模な軍事衝突の恐れが高まり、世界的な景気後退への懸念から小麦価格が急落する局面もありました。しかし、両国の対立が泥沼化するリスクが後退したと見なされるや否や、価格が安くなりすぎた銘柄を買い戻す「見直し買い」が入っています。ネット上では「戦争の危機から一転して買い戻しが入るなど、激しい値動きに目が離せない」と、市場のスピード感に驚く声が目立ちます。
編集部の視点:政治と気候に左右される穀物市場の未来を読む
今回の小麦相場の動きを見ていると、私たちの主食である農産物が、いかに国際政治や地球環境の動向と密接に結びついているかが痛感されます。米中和解という大局的なプラス要因がある一方で、中東の地政学的リスクや異常気象による減産といった不安要素も複雑に絡み合っているのが現状です。単なるマネーゲームとしてではなく、世界の食糧供給の安定という観点からも、投資家たちの動きを慎重に見守る必要があるでしょう。
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