働き方改革が進む中、別の仕事を掛け持ちする「副業」への関心が高まっています。金沢市でゲストハウス運営などを行う株式会社こみんぐるでは、現在5名のスタッフが他の仕事や活動と両立しながら活躍中です。この多様な働き方を可能にしているのが、会社の目指す姿への強い「共感」になります。単に条件だけで選ぶのではなく、企業の理念に深く寄り添える人材を見極めて採用することが、複数の業務を高いクオリティでこなす原動力になるでしょう。SNSでも「理念への共感が大切という視点に深く納得した」と大きな反響を呼んでいます。
副業人材が能力を最大限に発揮するためには、企業側の受け入れ姿勢も重要な鍵を握ります。大手企業などでは、外部から来た人材をどこか「お客さん」のように扱ってしまうケースが少なくありません。しかし、こみんぐるでは「自分がいないとこの業務が回らない」という責任感や帰属意識を、意図的に仕事をお任せすることで育んでいます。これによって当事者意識が芽生え、自走する組織が構築されるのです。この仕組みは、限られたリソースで成果を出したい多くのベンチャー企業にとっても、非常に有益な手法と言えます。
実際に同社では、IT企業や東京のNPO法人で活躍する人など、実にバリエーション豊かな人材が集まっています。例えば、個人で企業の経営支援を行うプロフェッショナルには、社員研修や経営会議のファシリテーターを依頼しているそうです。ファシリテーターとは、会議などがスムーズに進行するように中立な立場でサポートする役割のことを指します。このように外部のノウハウを相乗効果として生かす取り組みは、自社だけでは生み出せないイノベーションを起こすきっかけになるはずです。
副業を成功させるために必要なビジネスの基礎力
一方で、キャリアの浅い新卒の社会人がいきなり複数の仕事を掛け持つことに対しては、慎重になるべきだという指摘もあります。「本業が忙しくて納期に間に合いませんでした」という言い訳は、プロフェッショナルの世界では一切通用しないからです。他社で活躍するためには、スケジュールの厳守やタスク管理といった、社会人としての基礎的な能力が不可欠になります。まずは一つの職場でビジネスパーソンとしての土台とスキルをじっくり磨くことが、将来的に複数の仕事をこなすための確実な近道になるでしょう。
このように多様なキャリアを支援する同社の取り組みは、これからの時代のスタンダードになる予感がします。代表の林俊伍氏は、2009年に豊田通商へ入社した後に高校教員を経て、2016年に金沢で夫婦で起業したという異色の経歴の持ち主です。彼自身の多彩な経験があるからこそ、個々の能力を掛け合わせる組織づくりが実現できているのだと感じます。これからの時代を生き抜くためには、個人のスキル磨きと企業の受け入れ体制の双方が、今まで以上にアップデートされていく必要があるのではないでしょうか。
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