すかいらーく24時間営業全廃へ!外食大手が踏み切る「脱・年中無休」の背景と働き方改革の未来

私たちの生活にすっかり溶け込んでいた深夜のファミリーレストラン。その景色が、今まさに大きな転換期を迎えています。ファミレス最大手であるすかいらーくホールディングスは、2020年4月までに「ガスト」や「ジョナサン」などで行ってきた24時間営業を完全に廃止することを発表しました。対象となる155店舗を含めたグループ内の計566店で営業時間が短縮され、全体で実に約1300時間もの営業時間が削られることになります。

この決定に対し、SNS上では「深夜に集まれる場所が減るのは少し寂しい」と惜しむ声がある一方で、「従業員の負担を考えれば当然の決断」「むしろ今までいつでも開いていたことが奇跡だった」といった、企業の英断を好意的に受け止める意見が圧倒的多数を占めています。消費者の意識も、利便性一辺倒から働く人の環境へと向いていることがうかがえます。

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構造的な人手不足と時給高騰がもたらした限界

同社の24時間営業は1972年に始まり、2009年には728店舗というピークを迎えました。しかし、ライフスタイルの変化により深夜の客足は遠のき、2012年からは段階的に短縮が進められていたのです。今回の完全廃止へ舵を切った最大の要因は、深刻化する労働環境の課題にあります。国が推進する「働き方改革(労働者の事情に応じた多様な働き方を選択できる社会を目指す改革)」への対応が、今や企業にとって避けては通れない最優先事項となりました。

現在の外食産業は、構造的な「人手不足」という高い壁に直面しています。仕事を求めている求職者の数に対して、企業からの求人数がどれだけあるかを示す「有効求人倍率」を見てみましょう。調理職種では2017年の2.82倍から、2019年11月には3.07倍へと上昇しており、接客職種でも同様に3.08倍まで跳ね上がっています。これは1人の求職者を3つの店舗が奪い合っているという、極めて激しい人材獲得競争を意味する数値です。

さらに、三大都市圏における飲食系アルバイトの平均時給は1000円を超える高水準が続いており、人件費の高騰が経営を強く圧迫しています。2019年4月には働き方改革関連法が施行され、正社員の残業規制も厳格化されました。労働環境を劇的に改善しなければ、もはや従業員の確保やモチベーションの維持、そして健康を守る職場環境づくりは不可能な状況に陥っているのです。

外食業界に広がる時短のドミノと新たな成長戦略

この波はすかいらーくだけに留まりません。「スシロー」を展開するスシローグローバルホールディングスは、2020年2月に全店で一斉休業を実施します。また「熱烈中華食堂 日高屋」を運営するハイデイ日高でも、都心部での人員確保の難しさから、多くの店舗で営業時間を短縮しました。深夜営業(午前0時から5時)を必要とする消費者がわずか13.5%に激減しているという調査結果もあり、深夜需要そのものが縮小しているのは明らかです。

こうした動きの先駆けとなったのが、2017年1月に24時間営業を全廃したロイヤルホストです。同社は営業時間を短くした分、店舗の改装やメニュー価値の向上に注力し、客1人あたりが支払う「客単価」を引き上げることに成功して増収を維持しています。これからの外食企業は、ただ店を開け続けるのではなく、顧客のニーズが集中する時間帯へ人手を集約し、デジタル技術の活用といった店舗改革を進めることこそが重要になるでしょう。

いつでも開いている便利さは魅力的ですが、その裏で誰かが過酷な労働を強いられるビジネスモデルは終わりを告げるべきです。今回のすかいらーくの決断は、サービスを提供する側と受ける側の双方が幸せになれる持続可能な社会への第一歩として、非常に高く評価できます。各企業には労務環境の健全化をチャンスと捉え、限られた時間の中で付加価値を高めていく、質の高い成長戦略への投資を期待して止みません。

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