国内の鉄鋼業界を牽引する東京製鉄が、2020年1月20日に注目の発表を行いました。2020年2月契約分における鋼材の販売価格について、前月と同水準のまま現状維持とすることを決定したのです。これで価格の据え置きは4カ月連続となり、市場の動向を慎重に見極めようとする同社の姿勢が色濃く反映された形となりました。
具体的には、建築物の骨組みに使われる主要な建材である「H形鋼」が1トンあたり8万3000円に設定されています。また、自動車や家電など幅広い製品の材料となる、鋼を薄く延ばしてロール状に巻いた「熱延コイル(ホットコイル)」は1トンあたり6万7000円となりました。さらに、船舶や橋梁といった大型構造物に対応する「厚鋼板」は1トンあたり7万7000円で取引されます。
今回の決定の背景には、海外と国内における景気感の温度差が存在しているようです。世界市場に目を向けると、年末から熱延コイルを中心に、下落しすぎていた相場が力強く反転し始める動きが見られます。しかし、日本のマーケットにおいては、まだはっきりとした価格上昇の波が訪れていないのが現状のようです。
今回の据え置き発表に対して、SNS上では「建築コストの急激な高騰が抑えられて一安心した」という安堵の声が上がっていました。その一方で、海外のタフな市場環境を鑑みて「世界的な値上がりの波が、いずれ日本にも押し寄せるのではないか」と、今後の動向を警戒する意見も散見されています。
東京製鉄の今村清志常務は、2020年前半の国内の荷動き、つまり物流や取引の活発さについては、やや落ち着いた状態が続くと分析しています。しかし同時に、東京オリンピックの開催前に一時的に見合わされている建設工事などが、大会終了後に本格化する可能性へ強い期待を寄せていました。
編集部としては、今回の価格据え置きは、目先の混乱を避けるための賢明な防衛策であると評価しています。オリンピックという巨大イベントの後ろ倒し需要を見据え、じっくりと力を蓄える東京製鉄の戦略は、今後の日本経済の底力を支える重要な鍵になるに違いありません。世界的な回復の兆しが国内に波及するタイミングに、これからも要注目です。
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