木製建材の分野で国内トップシェアを誇る銘建工業(岡山県真庭市)が、自社の技術を結集させた革新的な新本社オフィスの運用を開始しました。今回のプロジェクトでは、これまで本社工場内の4カ所に分散していた事務所を1機能に集約しています。ただ業務効率を高めるだけでなく、次世代の建築資材として注目を集める「CLT」の可能性を広く伝えるための、実践的なモデルハウスとしての役割も兼ね備えているのが特徴です。
この待望の新社屋は、木造2階建ての美しい佇まいを見せています。建物の規模は高さ約8メートル、南北に約25メートル、東西に約20メートルで、延べ床面積は約990平方メートルという開放的なスケールです。2019年7月の着工から、わずか半年という短期間で完成を迎えました。特に驚くべきは、総量約350立方メートルに及ぶ木材の骨組みを、2019年9月のわずか1カ月間で一気に組み立ててしまったという施工スピードの早さでしょう。
綿密な設計コンペを経て選ばれた意匠と構造には、総工費3億8000万円が投じられました。外観は周囲の景観に溶け込む落ち着いたブラウンの色調でまとめられています。一歩足を踏み入れると、そこにはキツネ色に輝く美しい木調の床や天井、そして壁面が広がり、訪れる人々を優しく包み込みます。天井まで大胆に突き抜けた吹き抜け構造が採用されており、どこにいてもお互いの気配を感じられるような、見通しの良い空間が創り出されました。
伝統と先進技術の融合!開放感あふれる空間デザインの秘密
この大空間を支えるのは、幅60センチメートル、厚み15センチメートルの集成材を、ひし形の格子状に組み上げた美しい構造体です。一辺が約135センチメートルまたは270センチメートルというこの格子が、従来の日本家屋における「大黒柱」のような役割を果たしています。この工夫により、室内に余分な柱や壁を設ける必要がなくなりました。各エリアは壁で遮るのではなく、緩やかな段差によって美しく区切られています。
ここで使われている「CLT(直交集成板)」とは、ひき板の層を互いに直交するように積み重ねて接着した大判の木パネルです。従来の木材に比べて強度が高く、変形しにくいという優れた特性を持っています。今回の新社屋では、周囲の壁面や床、屋根、さらにはV字型の天井に、最大幅約11メートルもの巨大なCLTパネルが贅沢に使用されました。さらに窓には2枚のガラスの間に空気の層を設けたペアガラスが採用されています。
このペアガラスにより、木材本来が持つ調湿効果と相まって、極めて高い断熱性と快適な室内環境が実現するでしょう。SNS上でも「これほど開放的で温かみのあるオフィスで働いてみたい」「日本の木造建築の技術はここまで進化しているのか」と、驚きと称賛の声が多数寄せられています。持続可能な社会に向けて木造建築の需要が高まる中、この新社屋はCLTの普及を後押しする象徴的な建造物になるに違いありません。
私は、この新本社がこれからのオフィス建築の在り方を大きく変える一石になると確信しています。コンクリートや鉄骨の建物に囲まれて働くことが当たり前だった現代において、木に包まれた空間がもたらす癒やしや創造性の向上は計り知れません。地方から世界へ、CLTという建材を通して日本の豊かな森林資源を循環させる銘建工業の挑戦は、まさに持続可能な開発目標を具現化した素晴らしい取り組みだと高く評価できます。
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