世界中のリビングを劇的に変えている動画配信界の巨人、ネットフリックスがついにベールを脱ぎました。2019年12月18日、同社は世界の地域別売上高と有料会員数を初めて公開し、投資家やメディアの注目を集めています。今回のデータ開示により、これまで謎に包まれていた地域ごとの成長戦略が白日の下にさらされる形となりました。
特に驚くべきは、日本を含むアジア市場の圧倒的な勢いではないでしょうか。2019年7月9月期におけるアジアの売上高は3億8230万ドルに達し、有料会員数は1448万人を記録しました。これはわずか2年前と比較して、どちらも約2.5倍という驚異的なスピードで膨れ上がっていることを示しています。アジアが秘める潜在能力の高さが改めて証明されました。
SNS上でも「アジア独自のコンテンツが面白い」「ネットフリックスの独走が止まらない」といった熱いコメントが飛び交っています。全会員数に占めるアジアの割合は9%とまだ伸び代を残していますが、成長率の高さでは他の追随を許しません。世界中のエンターテインメントファンが、次はどのようなアジア発のヒット作が生まれるのかと期待に胸を膨らませています。
日本発「全裸監督」の衝撃とオリジナル作品の力
ネットフリックスの強さの源泉は、その土地ならではの文化を反映した「オリジナル作品」への徹底した投資です。2019年の夏、日本では山田孝之さんが主演を務めたドラマ『全裸監督』が配信され、社会現象を巻き起こすほどの話題となりました。こうした尖った企画力こそが、地上波放送とは一線を画す同社のブランドイメージを確固たるものにしているのでしょう。
また、サンリオの人気キャラクターを起用したアニメ『アグレッシブ烈子』など、日本が誇るアニメ文化の活用も功を奏しています。韓国やインドでも現地に特化した独占配信コンテンツを次々と投入しており、加入者獲得の手を緩める気配はありません。文化の壁を越えて「面白いもの」を届ける同社の姿勢は、国境を超えて多くの支持を集めているようです。
ここで言う「有料会員数」とは、広告モデルではなく、毎月決まった料金を支払ってサービスを継続利用する顧客の数を指します。つまり、これだけ多くの人が、無料の動画ではなくネットフリックスの「質」に投資しているということです。アジアでの躍進は、質の高いエンタメに対する対価を払う文化が、着実に根付いている証左とも言えるかもしれません。
北米での失速と「ストリーミング戦国時代」の幕開け
一方で、本国である北米市場には暗雲が立ち込めています。2019年4月6月期には、会員数の伸びが8年ぶりにマイナスへ転じるというショッキングな事態も発生しました。カナダを含む北米の有料会員数は6711万人で、2年前からの伸び率は18%にとどまっています。市場の飽和に加え、ライバル企業による猛追がこの成長鈍化の要因と言えるでしょう。
現在、米国では「ストリーミング戦国時代」とも呼ぶべき激しいシェア争いが繰り広げられています。既存の王者アマゾン・ドット・コムの「プライムビデオ」や「Hulu」に加え、2019年11月にはディズニーが「ディズニー+」を鳴り物入りで開始しました。なんと初日だけで登録者数が1000万人を突破するという、恐るべき破壊力を見せつけています。
さらに、アップルも世界中で稼働する14億台のデバイスという圧倒的なハードウェアの強みを武器に、2019年11月から「アップルTV+」をスタートさせました。強力な資金力とIP(知的財産)を持つ巨人たちの参入により、消費者の可処分時間の奪い合いはさらに過激化しています。先行するネットフリックスにとって、今まさに正念場を迎えていると言えるでしょう。
個人的な見解としては、独占配信される「ここでしか見られない物語」の質が、今後の勝敗を分ける唯一の鍵になると考えています。資本力だけでは買えないクリエイティビティの戦いです。欧州や中東でも会員数が2倍に増えるなど、海外市場での好調をどこまで維持できるのか、ネットフリックスの第2章からますます目が離せません。
コメント