長野県が誇る白銀の世界に、2020年は異例の事態が発生しています。記録的な暖冬の影響により、観光業や小売業に大きな影が落ちているのです。例年なら多くのウインタースポーツファンで賑わうゲレンデですが、雪不足による一時閉鎖が相次ぎ、百貨店でも冬物コートなどの売れ行きが伸び悩んでいます。SNSでも「スキー場に雪がない」「今年のスノボはどうなるのか」といった困惑の声が広がっており、地域の基盤を揺るがす深刻な問題として関心を集めているようです。
信州の冬を象徴するスキー場やスケート場は、かつてない苦境に立たされています。箕輪町の上古田スケート場は天然氷が自慢の人気スポットですが、2020年1月現在もリンクが凍らない異常事態に直面しているのです。例年は2020年1月上旬から滑走可能となるものの、関係者からは「人が乗る以前の問題」とため息が漏れます。2020年1月25日の一般開放を目指してはいるものの、実現へのハードルは極めて高いとみられており、関係者の困惑は深まるばかりでしょう。
データを見ても、その深刻さは一目瞭然と言えます。長野県がまとめた調査によると、2019年12月27日から2020年1月5日までの年末年始にかけて、県内49箇所のスキー場を訪れた観光客は前年比7.5%減の74万人に落ち込みました。これは近年のなかでも最低水準の数字です。年明けに一度はオープンしたものの、2020年1月上旬に降った雨のせいで、せっかくの積雪が溶けてしまい、営業停止に追い込まれたゲレンデも少なくありません。
具体的な被害も報告されています。長野市の飯綱高原スキー場は2020年1月5日に待望の開業を迎えたものの、その後の雨で約30センチメートルの雪がほぼ消失してしまいました。現在は天候を伺いながら開閉を繰り返す綱渡りの運営です。さらに黒姫高原スノーパークでも、同様の雪不足から2020年1月14日から2020年1月16日にかけて一時閉鎖を余儀なくされました。この異変は海外客の予約キャンセルにも繋がっており、ホテル業界にも大きな打撃を与えています。
こうした気候変動の波は、駅前の商業施設にも押し寄せていました。JR長野駅前に位置する「ながの東急百貨店」では、2019年12月の防寒着やマフラーといった冬物アイテムの売上高が前年比で1割も減少する結果となっています。お店に足を運ぶお客様の数自体は決して少なくないものの、客単価の高い防水・防寒製品の動きが鈍いため、衣料品全体の売り上げを押し下げる要因になってしまいました。冬の定番商品が売れない厳しい冬を過ごしています。
そこで小売業が打ち出した一手が、季節の先取り戦略です。同百貨店では、例年よりも早く春物衣料の展開にシフトし、利益を確保する工夫を始めています。幸いにも、女性向けの薄手ワンピースやカットソーの動きは好調のようです。新しいトレンドを早期に提案することで、春物の販売期間を少しでも長く引き延ばそうとする、現場の必死の知恵が伺えます。変化する気候に対して、柔軟に対応するスピード感が今のビジネスには不可欠なのでしょう。
地域を守るための緊急支援!行政と金融機関が動く
この未曾有の事態を重く受け止め、長野県や各金融機関は苦境に喘ぐ事業者への救済措置を迅速にスタートさせました。雪不足は単に観光業だけでなく、除雪作業が激減した建設会社や、ゲレンデ周辺の飲食店など、幅広い業種の資金繰りを圧迫しているからです。日本政策金融公庫は県内4つの支店に相談窓口を設置し、融資の返済猶予や追加の融資対応といった具体的なサポートを開始しました。
さらに長野県自体も、企業の経営悪化を防ぐための「経営健全化支援資金」という強力な融資制度を設けています。直近3ヶ月の売上高が前年より5%以上落ち込んでいるケースや、収益性が低下している企業が対象です。最大で設備資金6000万円、運転資金8000万円の借り入れが可能となり、信用保証料の大部分、あるいは全額を県が補助してくれます。地域一丸となってこの危機を乗り越えようとする姿勢が伝わってきます。
また、県信用保証協会による「災害緊急特別保証制度」の適用や、長野銀行による特別融資の実施など、セーフティネットの網の目は幾重にも張り巡らされています。気候の変動は一企業の努力だけでは抗えない不可抗力です。だからこそ、こうした公的なスピード支援は、地域経済の崩壊を防ぐために極めて重要な役割を果たします。今は耐え忍ぶ時期ですが、官民が連携してこの難局を切り抜けることを切に願うばかりです。
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