自宅での介護が難しくなった高齢者にとって、最後の砦とも言えるのが介護施設です。しかし現在、その大切な受け皿である老人ホームの倒産が高止まりしており、多くの家族が困惑する事態に直面しています。
東京商工リサーチの調査によると、福祉や介護事業の倒産は2012年ごろから右肩上がりに増え続けています。さらに2016年以降は、毎年100件を超える事業者数が倒産するという、非常に深刻な事態が継続しているのです。
この衝撃的なニュースに対し、SNS上では「明日は我が身だと思うと他人事ではない」「親の預け先が突然なくなったらどうすればいいのか」といった、将来への強い不安を訴える声が数多く寄せられ、波紋を広げています。
2019年の1年間を振り返ると、倒産した111件の事業者のうち、最も多かった地域は32件を記録した近畿地方でした。市場の拡大に伴い、運営ノウハウを持たないまま安易に参入した業者が行き詰まるケースが目立っています。
施設が破綻した際に最も大きな問題となるのが、入居時に支払う「前払い金」の返還トラブルです。これは、将来の家賃やサービス料を事前に一括で納めることで、月々の支払いを抑えるための仕組みを指します。
通常、退去や死亡の際には残額が戻る契約となっていますが、会社が破綻して別会社に債務が引き継がれない場合、1円も戻らないリスクがあります。業界団体の保証制度もありますが、その適用のハードルは非常に高いのが現状です。
実際に2019年1月、東京都内の有料老人ホームが倒産したケースでは、54歳の男性が83歳の母親のために支払った570万円の前払い金が戻らず、ずさんな管理や退去要請に悩まされる悲劇が起きてしまいました。
幸いにもこの男性の母親は、2019年12月末に神奈川県平塚市の別の施設へ無事に転居できましたが、すべての人が救われるわけではありません。新規参入が相次ぐ今、私たちは「選ばれる施設」と「危険な施設」を見極める必要があります。
有料老人ホーム入居支援センターによると、優良な施設を見極めるポイントは3つあります。まず、入居者数に対する職員の割合が8割以上であること、そして職員の勤続年数が長く、広告を出さなくても満室が続いていることです。
介護は単なるビジネスではなく、人の命と尊厳を預かる大切な仕事です。国による制度緩和や救済策の整備を急ぐと同時に、私たち利用者側もパンフレットの言葉に惑わされず、現場の質を厳しく見極める視点を持つべきでしょう。
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