日本銀行は2020年1月22日、今後の日本経済の羅針盤となる「経済・物価情勢の展望」を発表しました。黒田東彦総裁の記者会見では、政府の経済対策のおかげで2020年度の経済成長率は上振れするとの見通しが示されています。しかし私たちの生活に直結する物価の上昇については、残念ながら前回までの予測からほぼ横ばいの状態が続くようです。ネット上では「景気が良くなる実感なんて全く湧かない」といった悲観的な声が目立っており、庶民の感覚との温度差が浮き彫りになっています。
世界に目を向けると、中東の緊迫した情勢やアメリカと中国の貿易摩擦といった、海外発の経済下振れリスクが依然としてくすぶっています。総裁は一時期ほどの緊迫感は薄れたと語るものの、米中交渉の先行きは見通せず、地政学的リスク(特定の地域が抱える政治的・軍事的な緊張が経済に与える悪影響)は高いままです。これに対してSNSでは「世界情勢がこれだけ不安定なのに、本当に日本の景気だけが良くなるのだろうか」と、先行きを不安視する書き込みが相次いでいました。
マイナス金利の功罪と家計への容赦なき影響
北欧のスウェーデン中央銀行がマイナス金利政策(銀行が中央銀行にお金を預けると逆に手数料を取られる異例の政策)を撤廃したことで、日本への影響にも注目が集まっています。長引く超低金利は、私たちの預金利息を事実上ゼロにするという副作用をもたらしているのが現状でしょう。日銀もこの弊害を認識してはいるものの、現段階では経済全体を底上げする効果の方が上回っていると主張しています。マクロ経済(国や社会全体の視点から捉える経済の動き)の改善を優先する姿勢を崩していません。
この日銀の強気な姿勢に対し、世間の風当たりは非常に強いものがあります。ネット上では「老後資金のために貯金しても全く増えない」「銀行の利ざやが減って地方銀行が潰れたらどうするのか」といった、悲痛な叫びや批判的な意見が溢れ返っていました。確かに株価の上昇などの恩恵はあるものの、一般の家計や金融機関の収益が圧迫されている現状を直視すべきです。社会全体にメリットが行き渡っているとは言い難く、政策の舵取りは限界を迎えているようにも見えます。
東京五輪後の日本経済と今後の金融政策のシナリオ
2019年10月に実施された消費税率の引き上げについて、総裁は「駆け込み需要の反動による落ち込みはあるが、一時的なものにとどまる」と分析しました。働く人の所得は着実に増えており、マインド(消費者の買い物に対する心理や意欲)も回復しているため、個人消費の拡大基調は維持される見込みです。さらに2020年の東京オリンピックが閉幕した後の景気失速を心配する声に対しても、延期されていた民間投資が動き出すため、大きな冷え込みは起こらないと予測しています。
アメリカやヨーロッパの中央銀行が金融政策の見直しに動く中、日本だけは異次元の金融緩和を当面続ける方針です。日本では生鮮食品を除いた基礎的な物価の上昇率が、目標である2%に遠く及ばないため、今の方針を変えるのは時期尚早であると考えられます。私たちはただ日銀の発表を鵜呑みにするのではなく、東京五輪後の実需の動向や、世界経済の急激な変化に対して、いつでも対応できるように個人の資産を守る防衛策を考えていく必要があるのではないでしょうか。
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