空飛ぶサメに学会設立!?全米があきれた「サメ映画」の超進化と日本での熱狂的なブームに迫る!

映画界の最高峰である米アカデミー賞が世間の注目を集める裏側で、いま日本国内である映画のジャンルが凄まじい熱量を持って浸透しています。それは、海の王者であるサメを主役にした「サメ映画」の世界です。名作『ジョーズ』の誕生から45年が経過した現在、サメたちは映像技術や奇抜なアイデアによって驚くべき遺伝子組み換えのような進化を遂げています。チープで荒唐無稽、だけど目が離せないパニック作品の数々に、多くの人々が心を奪われているのです。

その熱狂ぶりを証明するように、日本では愛好家たちが集う「サメ映画学会」なる組織まで誕生しました。2019年11月のある夜、東京の高円寺にあるイベントスペース「高円寺パンディット」には、熱心な学会員たちが一堂に会していました。年齢も性別もバラバラな約30人の参加者たちの口からは、「シャーク」や「デビル」といった不穏な単語が次々と飛び出します。彼らは独自の視点で作品を分析し、熱い議論を交わしているのです。

「日本は世界で最もサメ映画の学術的アプローチが進んでいる国」と胸を張るのは、同学会で顧問を務める中野ダンキチさんです。そもそもこのブームの背景には、映画大国であるアメリカの存在があります。ここ5年から6年の間、現地の制作会社「アサイラム」などを中心に、低予算で制作される、いわゆる「B級映画」としてサメ作品が大量に作られてきました。B級映画とは、大作に比べて制作費が抑えられた、娯楽性を重視した作品のことです。

これらがテレビ放送されると、SNS上では億単位のコメントが飛び交うほどの大反響を呼びました。日本でもインターネットを介して「内容が雑すぎてツッコミが追いつかない」「B級ならではのチープさが最高」と、Twitter(現X)を中心に口コミが拡散し、ファンが急増したのです。公式グッズや情報が少ないからこそ、自分たちで魅力を掘り下げて語り合いたいという飢えたファンが集まり、2018年にこの学会が結成されました。

現代のサメ映画において、彼らの生息地はもはや海だけにとどまりません。サメを巻き込んだ巨大な竜巻が街を襲う『シャークネード』や、タコと融合した『シャークトパス』、幽霊となって執念深く襲いかかる『ゴースト・シャーク』など、その設定はどれも常軌を逸しています。空を飛び、水道管から這い出し、時にはナチスの秘密兵器や地球の支配者として君臨するサメたちの姿は、視聴者の凝り固まった想像力を粉々に打ち砕いてくれるのです。

会員たちは2~3ヶ月に1回のペースで集まり、超難問のクイズを楽しんだり、理想のサメ映画のプロットを妄想したりと、夜遅くまで知的な(?)交流を続けています。参加者の一人は「凶悪な見た目なのに、やっていることが馬鹿馬鹿しくて笑える。深く考えずに映像だけでゲラゲラ笑えるのが魅力」と語ります。鑑賞する側の人間性が試される、まさに「人間の心を映し出す鏡」のような奥深さが、このジャンルには隠されているのでしょう。

さらに、この熱潮は映像の世界を飛び出し、アナログゲーム界へも波及しています。2019年11月には、秋葉原のゲームカフェで「サメポリー」というボードゲームに興じる人々で行列ができていました。これは、資産を増やす定番ゲーム「モノポリー」をベースに、プレイヤーが市長となって凶暴な人食いザメの脅威から逃げ惑うという、極限状態のサバイバルゲームです。武器を集めてサメに立ち向かう、スリリングな仕様がウケています。

このゲームは、ホビー企業「サイバーダイン」の映画ファンが8ヶ月の歳月をかけて開発した力作です。2019年2月に実施されたクラウドファンディングでは、277人の支援者から218万円もの資金調達に成功し、同年10月の一般発売以降、またたく間に500個以上が完売しました。ネット上でも「一瞬でサメに喰われた」といった悲鳴混じりの報告が相次いでおり、誰もがその「おバカな世界観」を五感で楽しんでいます。

一見するとB級でくだらないと切り捨てられがちなサメ映画ですが、そこには制作者の突き抜けたアイデアと、それを全力で面白がるファンの温かいコミュニティが存在しています。人生の貴重な時間をあえてこの混沌としたエンターテインメントに捧げることは、現代社会において最高の贅沢なのかもしれません。深海のように底が知れないこのディープな世界へ、あなたも一歩足を踏み入れてみる勇気はありますか。

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