製造業のIT投資が加速!SCSKと日鉄ソリューションズが2019年上期に過去最高益を更新した理由とは?

日本の産業界を支えるシステムインテグレーター(SIer)大手2社が、驚異的な快進撃を見せています。2019年09月19日、SCSKと日鉄ソリューションズ(NSSOL)の2019年04月から09月までの中間決算において、連結営業利益が過去最高を更新する見通しであることが明らかになりました。景気の先行きに不透明感が漂うなかでも、企業のIT投資意欲は衰えるどころか、むしろ加速度的に増している様子がうかがえます。

まずSCSKの業績に注目すると、営業利益は前年同期比19%増の190億円程度に達した模様です。この好調を牽引したのは、間違いなく自動車業界の技術革新でしょう。特に「組み込みソフト」と呼ばれる、自動車の車体に内蔵されて特定の機能を制御するコンピューターシステムの開発が絶好調です。自動運転や電動化といった次世代技術への対応が急務となるなか、新車開発の現場ではシミュレーション技術の活用が不可欠となっています。

SNS上では「CASE(コネクテッド・自動運転・シェアリング・電動化)への投資がこれほど具体的数値に表れるとは」と、業界の変化を実感する声が多く上がっています。SCSKは、データ解析に欠かせないサーバーなどのハードウェア販売も伸ばしており、製造業のデジタル化を全方位でサポートしている印象です。また、ネット通販の普及を背景に、流通業界向けのECシステム構築も堅調に推移しており、消費行動の変化を的確に利益へと繋げています。

一方のNSSOLも、営業利益が33%増の150億円程度と、目覚ましい成長を遂げています。こちらの注目株は、あらゆるモノをネットにつなぐ「IoT」技術を活用した現場管理システムです。工事現場での作業員の動きを可視化・分析することで、安全性の向上と効率化を両立させる仕組みが支持を集めています。親会社である日本製鉄向けのシステム刷新や、生産性向上のための開発案件も、収益の柱としてどっしりと貢献しているようです。

特筆すべきは、2020年01月に控えたOS「Windows 7」のサポート終了に伴う更新需要です。官公庁を含め、サイバー攻撃への備えを強化するセキュリティ対策の特需が、売上を大きく押し上げた要因となりました。こうした一過性の需要だけでなく、両社ともに「開発の標準化」を進めることで、エンジニアの稼働率を最大限に高め、利益率を向上させている点は、経営の安定感を感じさせます。現場の知恵が利益に直結しているといえるでしょう。

IT業界のトレンドは、従来の「オーダーメイド型」から、汎用的な機能を安価かつ素早く提供する「クラウド型」へと劇的にシフトしています。SCSKが展開するAI活用のコールセンター向けクラウドや、NSSOLが提供する低コストなクラウドサーバーは、その象徴といえます。初期投資を抑えつつ最新技術を利用したいという企業のニーズを、両社は見事に捉えました。この柔軟なビジネスモデルへの転換こそが、最高益を支える真の原動力なのです。

編集者の視点から言えば、今回の好決算は単なる「好景気」の結果ではなく、日本の製造業が生き残りをかけて「デジタル変革(DX)」に本腰を入れ始めた証拠だと感じます。これまではコスト削減がIT投資の主目的でしたが、今は「新しい価値を創るための投資」へと性質が変わってきています。2020年03月期の通期予想についても、現在のペースを維持すれば上方修正はほぼ確実でしょう。日本のIT産業の底力に、今後も目が離せません。

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