毎日の生活の中で、ついついお薬を飲み忘れてしまった経験はありませんか。そんな日常の小さなうっかりを、エンターテインメントの力で解決しようとする画期的な試みが始まりました。ジェネリック医薬品(後発医薬品)の大手メーカーである東和薬品は、2020年1月21日にバンダイナムコ研究所との共同開発を発表し、スマートフォン向けの新しい服薬支援アプリの制作に乗り出しています。ゲームの要素を取り入れることで、患者さんが自発的に、そして楽しみながら正しい服薬習慣を身につけられる仕組みを目指しているそうです。
このアプリがターゲットにしているのは、薬の飲み忘れや飲み間違い、そしてそれに伴って発生する「残薬(ざんやく)」の解消です。残薬とは、医療機関から処方されたものの、正しく服用されずに患者さんの手元に残ってしまったお薬のことを指します。実はこの残薬、単なる個人の飲み忘れという問題にとどまりません。日本全体で年間約500億円分にも達すると試算されており、国の医療費を圧迫する深刻な社会問題として重く受け止められているのが現状です。
今回のプロジェクトでは、東和薬品が全体の企画や立案を主導し、バンダイナムコ研究所がゲーム設計やソフトウェア開発の職人技を注ぎ込みます。エンタメのプロが作るアプリということもあり、SNS上では「これなら祖父母も喜んで続けられそう」「ゲーム感覚で健康管理ができるのは現代的で素晴らしい」といった期待の声が早くも続出しました。患者さんは無料でこのアプリを利用できるため、導入のハードルが非常に低い点も大きな魅力と言えるでしょう。
医療の未来を変える「ゲーミフィケーション」の可能性
ビジネスモデルとしては、薬局側から利用料をもらう仕組みを想定しており、2021年の実用化に向けて現在開発が急ピッチで進められています。薬局にとっても、患者さんの服薬状況を正確に把握して管理しやすくなるため、双方にメリットがある仕組みです。筆者は、このように義務になりがちな闘病や健康管理に「楽しさ」を掛け合わせる手法(ゲーミフィケーション)こそが、今後のヘルスケア分野におけるイノベーションの鍵を握ると確信しています。
単に「薬を飲みなさい」と叱るのではなく、ゲームをクリアするワクワク感を提供することで、高齢者から若者まで無理なく続けられるはずです。500億円という巨額の医療費ロスを削減するだけでなく、患者さんの健康寿命を延ばすことにも繋がるこの取り組みは、まさに一石二鳥の妙案ではないでしょうか。エンタメと医療が融合したこの素晴らしいアプリが、日本の医療現場に新しい風を吹き込んでくれる日を心から心待ちにしています。
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