2020年01月08日、デジタル技術を用いてビジネスモデルに変革をもたらす「DX(デジタルトランスフォーメーション)」が多くの企業で最重要課題となっています。この荒波のなか、NTTコミュニケーションズは2019年09月に革新的なデータ流通プラットフォームを始動させました。世界を席巻する巨大IT企業「GAFA」との激しいシェア争いが懸念されていますが、庄司哲也社長が見据える未来は驚くほど冷静で、かつ独自の自信に満ちあふれています。
インターネット上では「GAFAにどう立ち向かうのか注目していたが、まさか共生関係を築いているとは驚きだ」といった驚嘆の声が寄せられています。また、「日本企業に最適化された専用クラウドの需要は確かに高いはず」と、同社の戦略に納得する意見も少なくありません。多くのユーザーが、一見すると競合に見える巨大IT勢との住み分け戦略に対して、日本のビジネスを支える新たなインフラとしての可能性を感じ取り、期待を寄せている様子がうかがえます。
巨大IT勢を顧客に変える「住み分け」の妙技
庄司社長は、米アマゾンや米マイクロソフトといった巨大企業と競合するのではなく、むしろ自社のインフラを利用する「顧客」として迎え入れていると明かしました。数多くのユーザーが共有するパブリッククラウドではなく、特定の企業向けにカスタマイズされた「専用車」のようなプライベート環境を構築することに勝機を見出しています。この柔軟な姿勢こそが、画一的なサービスでは満足できない日本企業の細やかなニーズを満たす鍵になるでしょう。
ここで注目すべき専門用語が「DX」と「クラウド」です。DXとは、データとデジタル技術を駆使して製品や組織、業務プロセスを劇的に変革し、競争上の優位性を確立することを指します。一方のクラウドとは、自社で高価なサーバーなどの設備を抱えることなく、インターネット越しに柔軟にコンピューターのリソースを利用できる仕組みのことです。同社はこれらを高度に融合させ、日本独自のビジネス環境に適した変革を強力に支援しています。
縦割り打破で挑む業界特化型の一気通貫サポート
同社は2019年09月、データの収集から蓄積、分析までをワンストップで提供する「スマートデータプラットフォーム」の展開を開始しました。さらに2020年度に向けて、従来の企業ごとに営業と開発が分かれていた組織体制を抜本的に見直す構想を進めています。製造業などの業界別に、開発から販売までを一気通貫で担当する専門組織へと変革することで、それぞれの業界特有の課題に対してより解像度の高い提案が可能になる見込みです。
この一気通貫の体制は、NTT東西などグループ企業との連携強化によって地方自治体や教育現場へも波及していくでしょう。さらに、2019年07月に創立20周年を迎えた同社は、海外事業を分社化するグループ再編を実施しました。今後は単に物理的な機器を販売する「モノ売り」から脱却し、顧客の課題をデジタル技術で解決する「ソリューション提供」へのシフトを一段と加速させ、北米をはじめとするグローバル市場での認知度向上を狙います。
編集部の目:巨額の報酬を超えた「企業の魅力」が日本のDXを救う
NTTコミュニケーションズは、優秀な研究開発人材を確保するために最高で年3000万円という国内屈指の高額報酬制度を導入しています。しかし、GAFAをはじめとする海外のメガテック企業が提示する破格の条件と比較すれば、金銭面だけで勝利を収めるのは容易ではないのが現実です。だからこそ、庄司社長が主張する「中長期の明確な展望を提示し、組織としての社会的意義に共感してもらう」というアプローチには非常に深い意義があると感じます。
単なるマネーゲームに終始するのではなく、日本企業のDXを根底から支えるという壮大なミッションに挑戦できる環境こそが、何物にも代えがたい価値を生み出すはずです。これからの時代、DXの成否を握るのは洗練されたシステムそのもの以上に、顧客の痛みに寄り添い、並走できるコンサルティング能力を持った「人」の育成に他なりません。同社が掲げる人間中心の成長戦略が、日本の産業界全体に活力をもたらす道標となることを切に願います。
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