アジアの経済圏を守るための大きな決断が下されようとしています。日中韓と東南アジア諸国連合(ASEAN)は、万が一の金融危機が発生した際に、お互いに外貨を融通し合うセーフティネットの仕組みを劇的に見直す検討に入りました。資金の引き出し条件を緩和し、より機動的に動かせる体制を整える構えです。
この決定に対し、SNSなどインターネット上では「過去のアジア通貨危機の教訓が生きている」「迅速な対応ができるのは心強い」といった前向きな反響が相次いでいます。やはり、各国の経済を守るための実効性のある防波堤が求められているのでしょう。
今回の見直しの対象となるのは、「チェンマイ・イニシアチブ(CMIM)」と呼ばれる多国間協定です。これは、特定の国が対外支払いに窮する「流動性危機」に直面した際、自国の通貨と引き換えに米ドルなどの外貨を融通してもらう仕組みを指します。いわば、アジアの国々が共同で出資して作った緊急用の巨大な貯金箱のような存在です。
これまでは、全体の7割を借り入れるために国際通貨基金(IMF)による厳しい財政指導を受けなければなりませんでした。しかし今後は、この介入なしで使える自由な枠を現在の30%から40%へと引き上げる方針です。これにより、独自の判断で動かせる資金が約3割も増え、およそ960億ドルにまで拡大します。
過去の苦い教訓を乗り越えて
発動の条件は、その国自身の放漫な財政運営ではなく、海外の投機的な動きといった「外部要因」で危機に陥った場合に限定される見通しです。これまでは、新興国からの急激な資本流出を防ぐための具体的な対策が、各国の次官級会議で慎重に議論されてきました。懸念されていた中国も、水面下でこの改革にに賛成へと回った模様です。
この自由枠の拡大を強く後押ししたのは、タイやマレーシア、インドネシアといった東南アジアの国々です。これらの国には、1997年から1998年にかけて起きたアジア通貨危機の際、IMFから過度な緊縮財政を課されて不況が長期化したという苦い経験があります。IMF自体も当時の対応が行き過ぎだったと後段で検証しているため、各国がより自由度の高いセーフティネットを求めるのは当然の帰結だと言えます。
この画期的な見直しは、2020年5月に韓国で開催される日中韓・ASEAN財務相・中央銀行総裁会議にて正式に決定される予定です。単に資金を増やすだけでなく、過去の失敗を教訓にしながら、アジア独自の手法で地域経済の安定を勝ち取ろうとする姿勢は非常に評価できます。国際機関の顔色を窺うことなく、迅速に機能する防壁こそが、これからの激動のグローバル市場には不可欠なはずです。
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