日本の外食産業がいま、深刻な人手不足という大きな壁に直面しています。そんな課題をユニークな発想で解決しようと、ロボットを導入した新しい接客の形が次々と産声を上げています。居酒屋チェーンを展開する養老乃瀧や、人気カフェを運営するカフェ・カンパニーが、最先端の技術を取り入れた実証実験を2020年1月24日までに相次いでスタートさせました。単なる自動化にとどまらず、心を通わせる接客を目指す取り組みに、SNSでも「未来の居酒屋が楽しそう」「応援したい」と大きな反響を呼んでいます。
養老乃瀧はロボットシステム開発企業とタッグを組み、2020年1月23日から3月19日までの期間限定で「ゼロ軒めロボ酒場」をオープンしました。東京のJR池袋駅から歩いて2分ほどの「一軒め酒場」店内に特設されたカウンターでは、ロボットが注文を聞き、手際よくお酒を注いでくれます。ここで注目したいのが「AI(人工知能)」の活用です。AIとは、人間の知的な振る舞いをコンピューターに模倣させる技術のことで、今回のロボットはカメラでお客さまの年齢や表情を識別し、最適な会話を選ぶことができます。
ロボットが注ぐ生ビールや梅酒ソーダは一律500円で提供されます。面白いのは、お客さまが笑顔になったり売上につながったりした対応をロボット自身が学習し、接客のクオリティを自ら向上させていく点でしょう。利便性を追求するだけでなく、訪れた人を笑顔にする温かみを持たせようとする視点は素晴らしいと感じます。テクノロジーは冷たいものというイメージを覆し、飲食店に必要な「おもてなしの心」をロボットが表現する時代が、まさに幕を開けようとしているのではないでしょうか。
一方、カフェ・カンパニーが展開する「WIRED TOKYO 1999」では、2020年1月24日まで一風変わった実験が行われました。こちらで活躍するのは、遠隔操作で動く福祉ロボットです。病気や障害で外出が難しい方や海外在住者が、自宅にいながらロボットの目や声を通じて接客を行います。実際にオーストラリアから子育てをしながら参加しているスタッフもおり、インターネットを通じて身ぶり手ぶりを交えながら、温かい雑談を楽しんでいます。
この取り組みは、単なる労働力の穴埋めではなく、これまで働くことが難しかった人々に新たな「雇用の機会」を創出している点が極めて画期的です。体が動かせなくても、遠く離れていても、ロボットを相棒にすることで誰かとつながり、社会に貢献できる仕組みは、福祉の枠を超えて外食産業の可能性を大きく広げるでしょう。事前の予約席がすべて埋まるほど注目されたこの実験は、社会的な意義とビジネスとしての需要が完全に見事に一致した、素晴らしい先行事例だと言えます。
調査会社のデータによると、世界のサービスロボット市場は2025年までに4兆5000億円規模へ急成長すると予想されています。こうした技術の進歩は、現場の負担を減らすだけでなく、私たちに新しい外食のワクワク感を届けてくれるに違いありません。人間とロボットが手を取り合い、より豊かで多様な働き方ができる未来の飲食店に、これからも大いに期待していきたいところです。
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