北海道の空の玄関口が、今これまでにない熱気に包まれています。2018年8月1日に釧路空港へと就航した格安航空会社(LCC)のピーチ・アビエーションが、破竹の勢いで利用客を伸ばしているのです。釧路と関西を結ぶ路線を1日1往復、片道5290円からという驚きの低価格で提供し、年間を通じて安定した定期便を運航することで、多くの人々の心をがっちりと掴みました。
かつては「北海道の東部は夏しか売れない」という固定観念が航空業界に根強くありました。しかし、今回のピーチの快進撃はその常識を鮮やかに覆したと言えます。同じLCCグループのバニラ・エアが運航していた成田から函館への路線を廃止してまで、釧路にリソースを集中させた戦略は見事に的中しました。SNS上でも「関西から北海道へ気軽に行けるようになった」「格安で帰省できて本当に助かる」といった喜びの声が溢れています。
実際の数字を見ても、その好調ぶりは明らかです。2018年8月から2019年3月までの平均搭乗率は82%という高い水準を記録し、2019年7月までの1年間で累計の乗客数は早くも10万人に到達しました。これまでこのエリアを結ぶ空路といえば、7月から8月にかけて全日本空輸が限定的に運航する季節便のみだったため、ライバル会社からも「順調そのものだ」と驚きの声が上がっています。
2018年度の釧路空港の乗降客数は、胆振東部地震の影響を受けながらも、2017年度に比べて9%増となる81万人を記録しました。世界自然遺産である知床や、壮大な釧路湿原を目指す観光客はもちろんですが、実は単身赴任中のビジネスパーソンが生活の足として活発に利用している実態も見えてきました。観光とビジネスの双方が相乗効果を生み出している現状は、地域経済にとって非常に明るいニュースです。
一方で、この急成長に伴う嬉しい悲鳴も聞こえてきます。市街地から約20キロメートル離れた場所にあるため、自家用車で空港へ向かう地元の利用客が多いのですが、週末や連休には駐車場が深刻な大混雑に見舞われています。特にピーチの発着が集中する午前11時から午後0時台は混雑のピークを迎えており、現地の空港事務所も「車で訪れる出発客の需要に追いついていない」と頭を抱えるほどです。
こうした課題に対し、空港の運営側も素早く動き出しています。北海道内の7つの空港を一体化して民営化する記念式典が2020年1月18日に開催され、運営を担う北海道エアポートの幹部も駐車場の不足を最優先の課題として挙げました。今後30年間で約224億円にのぼる巨額の投資計画が進められますが、2021年3月から最優先で整備を開始し「1年以内に完成させる」と具体的な時期が明言されたのは、まさにこの駐車場でした。
2021年3月までに完全な民営化を目指す釧路空港の将来計画は、非常に強気で野心的です。現在の年間81万人という乗客数を、2024年度には111万人、そして2049年度には162万人へと、ほぼ倍増させる目標を掲げています。最盛期だった2002年度の95万人という過去最高記録を大きく上回る数字ですが、現在の勢いを見れば決して不可能な夢物語ではないと感じさせられます。
かつて最大で9路線あった国内定期便は、現在4路線にまで減少しています。しかし今後は、過去に運航していた台北に加え、ソウル、上海、香港といったアジアの主要都市からの国際線を積極的に誘致し、国内外を合わせて11路線にまで拡大する方針です。単なる観光地としてではなく、ビジネスや帰省といった多様な生活のニーズを深く吸い上げることで、釧路空港は北の大地で力強く根を張るメガ空港へと進化を遂げるに違いありません。
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