次世代の高速通信規格「5G」の未来を左右する、壮大なドラマが幕を開けました。モバイル業界の心臓部を握る米半導体大手のクアルコムが、新型のスマートフォン向け半導体「Snapdragon 865」と「765/765G」を世界に向けて発表したのです。
スマホの頭脳にあたる「チップセット」は、アプリを動かすCPU(中央演算処理装置)や通信機能を1つにまとめた超重要部品です。今回の発表は、これからのモバイル体験を劇的に変える可能性を秘めており、世界中から熱い視線が注がれています。
ネット上でも「ついに5Gが身近になる」「格安5Gスマホの登場が待ち遠しい」といった期待の声が続々と上がっています。今回のクアルコムの戦略は、まさに世界市場を巻き込むゲームチェンジャーとなるに違いありません。
普及価格帯への投入がもたらす5Gの民主化
最高峰モデルの「865」は、毎秒最大7.5ギガビットという驚異的な通信速度を誇り、人工知能(AI)の処理能力も大幅に進化しています。しかし、真の主役は、通信部品を一体化してコストを抑えた「765シリーズ」だと言えるでしょう。
この半導体の登場により、これまでは高級機種に限られていた5G機能が、お財布に優しいミドルレンジ(普及価格帯)のスマホにも搭載できるようになります。ゲーム性能を強化した「765G」など、ユーザーのニーズに合わせた展開も魅力的です。
さらに、クアルコムは周辺回路や設計情報をセットにした「プラットフォーム」としても提供します。これにより、端末メーカーは開発費を抑えながら、魅力的な新製品をスピーディーに私たちの手元へ届けることが可能になるのです。
ファーウェイ包囲網?中国メーカーがクアルコムと手を組む理由
米中貿易摩擦の嵐の中で、中国の華為技術(ファーウェイ)は米政府から厳しい制裁を受けています。それにもかかわらず、同社は2019年にも2億台以上のスマホを驚異的なスピードで売り上げ、自社製半導体を武器に中国市場で圧倒的なシェアを誇っています。
この事態に危機感を募らせているのが、OPPO(オッポ)やシャオミといった他の中国勢です。ファーウェイに国内市場を圧迫された彼らは、日本を含めた海外市場への本格進出に活路を見出そうと、一斉に動き出しました。
クアルコムにとっても、自社製半導体を使うファーウェイの一強が続くことは避けたいシナリオです。だからこそ、両者の利害が一致し、2020年春以降の5Gスマホ早期投入に向けて、強力なタッグが結成されたと見て間違いありません。
編集部が見る「5G半導体戦争」の行方
クアルコムの経営陣は「アンドロイド向けでナンバーワンだ」と豪語しており、ファーウェイへの強い対抗心が透けて見えます。世界市場を巻き込んだこの「半導体戦争」は、単なる企業の競争を超えた、米中のプライドをかけた覇権争いそのものです。
筆者は、この熾烈なシェア争いこそが、結果として私たち消費者に最大のメリットをもたらすと確信しています。競争が激化すればするほど、より高性能で安価な5Gスマホが市場に溢れ、新しい通信時代の恩恵を早く受けられるようになるからです。
クアルコムの予測では、2022年までに世界で14億台もの5Gスマホが出荷される見込みです。巨額の利益と未来の主導権を巡る壮絶なバトルの火蓋は、2020年1月27日の現在、まさに切って落とされたと言えるでしょう。
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