医療の世界に、非常に明るいニュースが飛び込んできました。2020年1月27日、長崎大学の佐藤克也教授らの研究チームが、髄液に含まれる「異常たんぱく質」を極めて高い精度で検出する画期的な新技術を発表したのです。
この技術は、これまで診断が非常に難しかったプリオン病やパーキンソン病の早期発見に繋がると期待されています。ネット上でも「認知症と誤認されやすい病気が見分けられるのは凄い」「実用化されれば救われる人が増える」など、多くの関心や好意的な声が寄せられました。
私たちが健康に暮らす上で、脳や神経の病気は大きな不安要素でしょう。特にプリオン病は、本来は無害なプリオンというたんぱく質が、何らかの理由で異常な構造に変質して脳に蓄積してしまう恐ろしい病気です。
この異常プリオンは、周囲の正常なたんぱく質をも次々と異常な形へと変えてしまう、まるでドミノ倒しのような強い感染力を持っています。その結果、脳の神経細胞が破壊され、認知機能の低下や深刻な睡眠障害を引き起こす仕組みが分かってきました。
これまではアルツハイマー病などとの見分けがつきにくく、確定診断が極めて困難だったのが実情です。そこで研究チームは、この「異常たんぱく質が仲間を増やして固まる性質」を逆手に取った、逆転の発想とも言える検査手法を生み出しました。
具体的な方法は驚くほどシンプルで、試験管に正常なたんぱく質を用意し、そこに患者から採取したわずか10マイクロリットルの髄液を加えます。ちなみにマイクロとは100万分の1を表す単位で、まさに一滴にも満たない微量な分量です。
もし髄液の中に異常なたんぱく質が潜んでいれば、試験管内の正常なものまでが次々と変質していきます。最後にその増加量を測定することで、病気の有無を瞬時に見極める仕組みです。試薬を混ぜて振動させるだけなので、わずか1日から2日で結果が判明します。
さらに驚くべきは、その圧倒的な低コスト化の実現です。従来の高度な検出法と比べて費用を約3分の1にまで抑えることに成功し、500人分を測定しても100万円から150万円程度で実施できるようになりました。
研究グループは、2011年から2019年までの長期間にわたり、プリオン病が疑われる約5000人のデータを用いて精度の検証を重ねてきました。その結果、健康な人を「陰性」と見分ける確率は驚異の約99%という、非常に正確な数値を叩き出しています。
これほど安価で確実な検査法が登場したことは、医療の歴史において大きな転換点になるに違いありません。何より、患者本人や家族が長期間にわたって「原因不明の病」に悩まされ続けるリスクを、大幅に減らせる点が素晴らしいと感じます。
アルツハイマー病など様々な神経難病への応用と未来への展望
この新技術の可能性は、プリオン病の検出だけに留まりません。すでに研究チームは、アルファシヌクレインという別種類のたんぱく質が凝集して起こる「パーキンソン病」の検知にも応用できる事実を確認済みです。
今後は、タウたんぱく質が原因とされるアルツハイマー病への適用も視野に入れているそうです。脳に異常なたんぱく質が溜まっていく様々な病気を、一括して早期発見できる未来がすぐそこまで来ているのかもしれません。
現在は背中に針を刺して髄液を採る必要がありますが、今後は尿や皮膚、鼻の粘膜といった、より身体への負担が少ない検査キットの開発を目指すとのことです。誰もが手軽に健康チェックを受けられる社会の実現へ向けて、今後の実用化に大きな期待が膨らみます。
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