アメリカの政界に、再び激震が走るニュースが飛び込んできました。ドナルド・トランプ米大統領は2020年1月27日、ホワイトハウスで記者団の取材に応じ、ジョン・ボルトン前大統領補佐官が近く出版する著書の草稿をめぐる報道について「彼の主張は完全に誤りだ」と激しい口調で全面否定しました。事の発端は、米ニューヨーク・タイムズ紙が報じた驚きの内容にあります。かつて政権の中枢で国家安全保障を担っていたボルトン氏が、現職大統領の重大な疑惑を裏付ける事実を本の中に書き記しているというのです。
今回、大きな焦点となっているのは、いわゆる「ウクライナ疑惑」と呼ばれる問題です。これはトランプ大統領が、大統領選のライバルであるジョー・バイデン前副大統領の不正調査を行うよう、ウクライナ政府に圧力をかけたのではないかとされる疑惑を指します。報道によると、2019年8月の時点で、トランプ大統領から「バイデン氏の調査に協力が得られるまで軍事支援の停止を続ける」という意向を直接告げられたと、ボルトン氏は草稿の中で明かしているそうです。
この軍事支援の停止措置は、野党である民主党から「外交を私的な政治利益のために利用した権力乱用である」として、非常に厳しく批判されてきました。もしもボルトン氏の指摘が事実であれば、民主党側の主張を決定づける強力な証拠となり、トランプ大統領を追い詰める弾劾(だんがい)裁判にも決定的な影響を与えるでしょう。弾劾裁判とは、大統領などの国家高官が職務上、重大な違法行為を行った際に、その罷免を求めて議会が裁判を行う特別な手続きのことです。
トランプ大統領はこの報道に対し、自身のSNSでもすぐさま反論を展開しました。ツイッター上では「もしボルトン氏がそのことに言及しているのだとすれば、それは本を売るための売名行為でしかない」と手厳しく断じています。大統領側としては、ボルトン氏の告発を個人的な金銭欲や注目集めによるものと位置づけ、その信憑性を何としてでも引き下げたいという必死の思惑が透けて見えるのではないでしょうか。
この緊迫した状況に対して、SNS上では瞬く間に数多くの反響が巻き起こっています。「ついに身内から決定的な証拠が出てきたか」「弾劾裁判にボルトン氏を証人として呼ぶべきだ」といったトランプ政権に厳しい声が上がる一方で、「本を売りたいだけの裏切り者の言うことなど信用できない」と、大統領の反論を支持する投稿も目立ち、ネット上は完全に二分されている状態です。
編集部としては、今回の事態は単なる元高官の暴露劇に留まらず、アメリカの民主主義の根幹を揺るがす重大な局面であると考えます。ホワイトハウスの最高機密に触れる立場にいた人物の証言は極めて重く、大統領側の「売名行為」という反論だけで片付けるには無理があるでしょう。事実に蓋をするのではなく、国民の前にすべての真相が明らかにされるべきではないでしょうか。今後の弾劾裁判の行方から、ますます目が離せそうにありません。
コメント