アメリカ経済の現在地を知る上で欠かせない、重要な経済指標が発表されました。米連邦準備理事会(FRB)が2020年1月15日に公開した地区連銀経済報告、通称「ベージュブック」によると、米国経済は2019年11月中旬から年末にかけて「緩やかな拡大」を維持していることが分かりました。製造業に一部弱さが見られるものの、それを補って余りあるほど個人消費が力強く推移しており、新年の景気見通しも良好なようです。
このベージュブックとは、全米12の地区連邦準備銀行が管轄地域の経済状況をまとめた報告書のことです。中央銀行が金融政策を決定する集まりである米連邦公開市場委員会(FOMC)の重要な判断材料として使われます。ネット上でも「アメリカの消費の強さは底堅い」「これなら次の利下げはなさそう」といった、景気の先行きに対する前向きなコメントや安堵の声が多数寄せられており、世界中から高い注目を集めています。
特に経済を牽引しているのが、年末商戦を中心とした個人消費の爆発的な勢いです。インターネット通販(オンライン販売)が驚異的な伸びを見せたほか、リッチモンド地区では「実店舗の客足も非常に良く、多くの店で前年の売り上げを上回った」と報告されています。さらに、住宅ローン金利の低下を背景に新築住宅の建設も着実に進んでおり、自動車販売も順調に推移するなど、一般市民の購買意欲は極めて高い状態にあると言えるでしょう。
一方で、貿易摩擦の影響を強く受けている製造業や輸送業には、依然として元気がありません。中国からの輸入品への関税を背景に、業績が伸び悩む企業や人員削減に踏み切る動きも一部で確認されています。しかし、2019年12月中旬に米中貿易交渉が「第1段階の合意」に達したことで、風向きが変わりつつあります。現地からは「この合意こそが今後の市場を動かす鍵になる」と、今後の劇的な回復を期待するポジティブな声も届いています。
労働市場に目を向けると、深刻な「人手不足」が続いている状況です。東部のフィラデルフィア地区では、あまりに人材が見つからずに採用自体を諦めてしまう企業や、せっかく雇った新人が研修中に他社へ転職してしまうといった驚きの事例まで報告されました。これほど雇用環境が引き締まっているにもかかわらず、給与水準や物価の上昇スピードは不思議なほど穏やかであり、経済の過熱を心配する必要は今のところなさそうです。
今回の報告書を読み解くと、アメリカ経済は一時期の貿易摩擦による大打撃を乗り越え、消費の力で力強く持ちこたえている印象を受けます。製造業の落ち込みをサービスや買い物がカバーする構図は、非常に健全で頼もしい限りです。米中合意という強力な追い風も吹き始めた今、過度なインフレを伴わない理想的な拡大路線がどこまで続くのか、2020年1月28日からの次回FOMCでの議論を含め、今後の動向から目が離せません。
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