2019年12月11日、米国の金融政策の行方を左右する米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されました。この重要な会合で、米連邦準備理事会(FRB)は政策金利の現状維持を決定し、7月から続いていた利下げの流れを4会合ぶりにストップさせています。
パウエル議長は会見において「米国経済の見通しは極めて良好である」と力強く宣言しました。先行きの政策予測に関しても、多くのメンバーが「2020年は利上げも利下げも行わない」という姿勢を示しており、世界最大の経済大国は当面、静観の構えを見せることになりそうです。
今回の決定により、短期金利の指標となるフェデラルファンド(FF)金利は年1.50~1.75%に据え置かれました。景気後退の予兆を事前に摘み取るための「保険的利下げ」というフェーズを終え、FRBは現在の金利水準が経済成長を支える上で最適であると判断したのでしょう。
盤石な雇用と成長予測が支える「金利据え置き」の根拠
SNS上では、この発表に対して「米国の景気が思った以上に強い」「株価にとってはニュートラルな判断だ」といった驚きと納得の声が広がっています。米中貿易摩擦という不透明な霧が漂う中でも、米国の実体経済は非常にタフな動きを見せていることが浮き彫りになりました。
専門用語の「潜在成長率」とは、その国が持つ労働力や設備をフル活用した際に達成できる、無理のない成長のペースを指します。FRBは2020年の実質成長率を2.0%と、この潜在成長率並みの底堅い伸びになると予測しており、景気の急減速は回避できると踏んでいるのです。
また、歴史的な低水準である3.5%の失業率が維持される見通しであることも、強気の背景にあります。これほどまでに雇用の安定が続く状況では、あえて追加で金利を下げる必要はないという、FRBの冷静かつ戦略的な意思表示が明確に感じられます。
大統領からの圧力と企業マインドの冷え込みという火種
しかし、この決定が手放しで歓迎されているわけではありません。2020年の再選を狙うトランプ大統領は、さらなる景気刺激を求めて執拗な利下げ圧力をかけています。製造業を中心に設備投資の停滞も見られる中、FRBが政治的な圧力に屈せず、中立性を保てるかが焦点です。
個人的な見解を述べれば、パウエル議長の舵取りは現時点では極めて理にかなっています。いたずらに金利を下げすぎてしまえば、将来的に本当の危機が訪れた際に使える「武器」がなくなってしまうからです。今は景気の自律的な拡大を見守る、忍耐の時期だと言えるでしょう。
貿易交渉の行方次第では、企業マインドが再び急激に冷え込むリスクも否定できません。FRBが描く「2020年追加緩和ゼロ」というシナリオが完遂されるのか、あるいは再び緩和を迫られるのか。世界の市場関係者は、パウエル議長の次の一言一句に、今後も釘付けになるはずです。
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