世界のモノづくりを牽引する巨大企業が、自動車産業の勢力図を塗り替える歴史的な一歩を踏み出しました。電子機器の受託製造サービス(EMS)で世界トップを走る台湾の鴻海精密工業が、2020年1月16日の夜、欧米の自動車大手であるフィアット・クライスラー・オートモービルズ(FCA)とタッグを組むことを発表したのです。両社は電気自動車(EV)の開発や製造を専門に行う合弁会社を、市場の急成長が続く中国に立ち上げることで合意しました。
EMSとは、他社ブランドの製品を裏方として受託製造するビジネスモデルを指します。鴻海はこれまで米アップル社の「iPhone」をはじめとするスマートフォンの生産で莫大な富を築いてきましたが、近年はその成長に陰りが見え始めていました。実際に2018年12月期の連結純利益は前の期を割り込んでおり、従来のスマホ依存からの脱却が急務となっていたのです。今回の車業界への参入は、同社にとって社運を賭けた新たな挑戦と言えます。
ネット上では「あのホンハイが車を作る時代が来るとは」「スマホのノウハウがどう活きるか楽しみ」といった驚きと期待の声が溢れており、SNSでもトレンド入りするほどの反響を呼んでいます。正式な契約は2020年3月末までを目指しており、出資比率はFCAが50%、鴻海は4割を超えない範囲で調整される見込みです。投資額などの詳細はこれから決まりますが、世界中がその動向に熱い視線を注いでいるのは間違いありません。
通信と車が融合する未来!自動運転時代を生き抜く両社の戦略
新会社が目指すのは、単なる電動車の製造に留まりません。鴻海は、インターネットと常時接続して多様なサービスを展開する「コネクテッドカー(つながるクルマ)」を市場に投入する計画を掲げています。これまでスマートフォンやサーバーの製造で培ってきた高度なデジタル技術や通信ノウハウを、次世代の乗り物へと惜しみなく注ぎ込む構えです。まずは世界最大の自動車市場である中国を開拓し、将来的には世界への輸出も視野に入れています。
一方でパートナーであるFCA側にも、今回の提携を急ぎたい理由がありました。同社は2019年12月にフランスのグループPSAとの対等合併に合意したばかりであり、規模の拡大を活かしたEV事業の強化を模索していたのです。最先端のIT技術を持つ鴻海と手を組むことで、次世代モビリティ開発へのスピード感を一気に加速させる狙いがあるのでしょう。この巨大な二大勢力がどのように連携していくのかが、今後の大きな注目点となります。
私は、この提携がこれからの自動車産業における「主役の交代」を予感させる重要な転換期になると確信しています。これからの自動車は、単なる移動手段ではなく「走る巨大なスマートフォン」へと進化していくからです。鴻海が持つ圧倒的なスピード感と生産技術が、伝統的な自動車メーカーに新しい風を吹き込むことは間違いありません。異業種の壁を越えたこの挑戦が、私たちの未来の暮らしをどのように変えてくれるのかワクワクします。
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