現代のビジネスにおいて「データ」は新しい時代の石油とも称されるほど重要な価値を持っています。日本政府は2020年1月21日、官民が持つ貴重な情報を国全体で有効活用するための画期的な一歩を踏み出すことを決定しました。首相官邸の直轄組織として「デジタル社会構築タスクフォース」という作業部会を立ち上げ、これまでバラバラだったデータの規格を一つにまとめる共通ルール作りに着手します。
対象となるのは自動運転や物流、農業など、私たちの生活に密着した13の重点分野です。2020年度中に具体的なルールを定め、膨大な情報群である「ビッグデータ」の解析基盤を整える方針を打ち出しました。この一報に対してSNSでは「ようやく重い腰を上げた」「業界の垣根を越えたイノベーションに期待したい」といったポジティブな声が上がる一方で、「本当に省庁間の縦割り打破ができるのか」と不安視する意見も飛び交っています。
なぜ今、データの共通化が必要なのか
これまで日本国内では、各業界が独自にデータを収集して管理してきました。しかし、例えば位置情報一つをとっても、宇宙開発、自動車、物流の各分野で基準や測定地点が異なるため、それらを掛け合わせて分析することが困難だったのです。さらに、温度管理データに関しても、地面からどの高さで測定するかという基準が違えば、せっかくの統計も比較検討する意味が薄れてしまいます。
これらの形式が統一されれば、食品の生産から家庭の食卓まで、一切鮮度を落とさずに届ける理想的な配送網が実現するでしょう。また、個人情報の取り扱い手続きも分野ごとに異なっていますが、手順をシンプルに統一できれば、ベンチャー企業のビジネスチャンスは爆発的に広がります。こうした「情報の質の向上」こそが、これからのデジタル社会を生き抜く鍵となります。
世界の巨大勢力に対抗するためのラストチャンス
日本がこの改革を急ぐ背景には、海外勢に対する強い危機感があります。約14億人の市場を背景に国主導で突き進む中国や、GAFAと呼ばれる米国の巨大IT企業群は、すでに圧倒的な量の情報を独占しているのが現状です。さらにインドやシンガポールといったアジア諸国も、国家レベルで医療や納税などのインフラデータを統合するシステムを構築しています。
日本でも2016年に「官民データ活用推進基本法」が施行され、農業分野など一部でセンサーデータの共有が始まってはいるものの、世界に比べると出遅れ感は否めません。専門家からも「業界ごとのデータ囲い込み体質を壊せるか、官邸のリーダーシップが問われる」との指摘が出ています。国内の調整に時間を取られれば、世界から完全に孤立してしまう恐れすらあるのです。
編集部が考える、これからのデジタル日本の姿
今回の政府の試みは、単なる手続きの統一ではなく、日本の産業競争力を左右する極めて重要な分岐点になると私は確信しています。いくら優れた技術や真面目な国民性があっても、基盤となるデータが分断されていては世界と戦えません。縦割り行政や業界の利害関係という「古い壁」を今度こそ取り払い、官民が一体となってスピード感を持って推進していくことを切に願います。
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