アジアの経済発展を金融面から支える重要な国際機関、アジア開発銀行(ADB)のトップが新しく交代しました。2020年1月17日、財務省で国際金融政策の舵取り役である財務官を過去最長となる約4年間にわたって務めた浅川雅嗣氏が、第10代総裁として華々しく就任したのです。このニュースはSNS上でも大きな注目を集めており、「国際経験が豊富な浅川氏なら、アジアの複雑な課題を解決に導いてくれるはず」「日本の金融外交の強みが発揮されることを期待したい」といった、これからの活躍を心待ちにする好意的な声が多数寄せられています。
浅川氏が就任後のインタビューで特に強い意欲を示したのが、アジア地域における「国際租税(国境を越える経済活動に対する課税ルール)」の強化です。具体的には、多国籍企業が租税回避地などを利用して税負担を不当に軽減する「BEPS(税源浸食と利益移転)」という深刻な問題への対応を掲げました。富が一部の企業に偏るのを防ぎ、地域に還元する仕組み作りが急務となっています。
巨大デジタル企業への課税問題と専門人材の育成
インターネットを通じて世界中で巨額の利益を上げる巨大IT企業への課税は、世界的な大問題です。浅川氏は2016年まで、アジア人として初めて経済協力開発機構(OECD)の租税委員会議長を5年間務め、この国際課税議論を最前線でリードしてきました。同氏は「欧米の多国籍企業がアジアで莫大な利益を上げても、現地の国々に適切な税金が納められない不条理が起こり得る」と強い危機感を募らせています。この不平等を解消するため、ADB内に税のスペシャリストを増員し、加盟国と緊密に連携していく方針を打ち出しました。
国際課税の適正化は、途上国が自立してインフラを整備するための貴重な財源を確保することに直結します。公平な税制が確立されれば、アジア全体の持続可能な成長へと繋がっていくに違いありません。専門知識を持ったトップが就任した今、ADBが世界の税制改革を牽引する強力なリーダーシップを発揮していくことを編集部としても強く期待しています。
年1.7兆ドルの需要に応える「質の高いインフラ投資」の追求
アジア・太平洋地域において豊かな社会を築くためには、道路や港湾、発電所といったインフラの整備が欠かせません。その建設資金の需要は年間で1.7兆ドルにも達すると試算されており、天文学的な数字に驚かされます。しかし、浅川氏は単に規模を拡大するだけでなく、「インフラの質の確保」こそが極めて重要であると熱を込めて主張しました。
2019年6月に日本が議長国を務めて開催された主要20カ国・地域首脳会議(G20大阪サミット)では、「質の高いインフラ投資原則」という国際的な指針が採択されています。これは、資金を借り入れる国が過度な借金で苦しまないような「債務の持続可能性」や、発注プロセスの不正を防ぐ「調達の透明性」などを重視する画期的なものです。ADBとしてもこの原則を厳格に守り、現地の公務員への育成支援などを通じて、地域社会に本当に貢献できるクリーンで強靭な街づくりを支えていく構えです。経済的な豊かさと健全な財政の両立を目指す新たな歩みに、世界中から熱い視線が注がれています。
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