天才エンジニアの暴走を止める「プロデューサー」の存在感!テック系スタートアップ成功の鍵を握る最強のバディたち

世の中を驚かせる革新的な技術や、独創的なアイデアを生み出すテック系スタートアップの起業家たち。彼らはまさに「天才」と呼ぶにふさわしい存在ですが、技術への情熱が強すぎるあまり、時に世間のニーズやビジネスの現実から足が浮いてしまうことがあります。SNSでも「技術が凄くても売れなきゃ意味がない」「天才の通訳ができる相棒は絶対に必要」といった声が多く聞かれるように、企業としての成長には天才の技術力だけでは不十分なのです。

そこで今、大きな注目を集めているのが、天才と社会の架け橋となる「プロデュース人材」の存在です。彼らは、エンジニアが研究や開発という純粋な技術領域に100%集中できる環境を整え、ビジネスを正しい方向へと導くコンパスのような役割を果たしています。今回は、そんな最強のバディたちによる、テック企業躍進の舞台裏に迫ります。

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消費者目線で天才のアイデアを社会にアジャストする

2018年に創業し、AI(人工知能)を搭載した無人カフェロボットの開発を手掛けるNew Innovationsでは、若き2人の経営陣が日々熱い議論を交わしています。14歳でロボット研究の国際大会に日本代表として出場した天才エンジニアの中尾渓人CEO(20)と、中学時代からビジネスを経験してきたプロデューサー気質の山田奨COO(21)です。

天才ならではの斬新なアイデアが次々と湧き出る中尾氏に対し、山田氏は常に「消費者目線」というブレーキをかけます。開発者は「どう動かすか」に没頭しがちですが、実際に使う人が使いやすいか、行列ができた時にどう対応するかといった現実的な視点を提供し、独善的な開発に陥るのを防いでいるのです。

2019年夏には大阪市での実証実験(新技術を実際の環境で試す検証プロセス)を無事に成功させ、現在は本格的な導入に向けて開発を加速させています。社外との折衝や落としどころの模索、さらには偏食になりがちな天才の健康管理まで引き受ける山田氏の姿からは、天才を支えるプロデューサーの献身的な重要性が深く伝わってきます。

難解な専門用語を「翻訳」して巨額の資金を引き出す

また、天才研究者の熱意をビジネスの言葉に翻訳することで、企業の未来を切り拓いた事例もあります。テレイグジスタンス(東京・港)の富岡仁CEO(40)は、東京大学の舘暲名誉教授(74)に請われて2017年に共同で起業しました。

舘氏は、人間が遠隔地にあるロボットを自分の分身のように操る「テレイグジスタンス(遠隔存在感)」の概念を、1980年代という極めて早い時期から世界に先駆けて提唱してきた天才です。しかし、彼が語る「存在拡張」や「ユビキタス(いつでもどこでも情報にアクセスできる環境)」といった難解な専門用語は、そのままでは投資家に響きませんでした。

そこで商社出身の富岡氏は、舘氏の脳内にある思想を徹底的に咀嚼し、「不労の世界をつくる」という極めて明快なキャッチフレーズに落とし込みました。この翻訳が見事に功を奏し、大手企業からの資金調達を次々と成功させています。難しい技術を社会に伝わる言葉へ変換するスキルこそ、文系プロデューサーが発揮できる最大の武器だと言えるでしょう。

最強のエンジンと、それをコントロールするハンドル

さらに、ロボット制御技術を持つMUJINの滝野一征CEO(35)も、「エンジニアは技術に集中しろ、泥臭い世界の掃除は全部俺がやる」と公言し、最高技術責任者(CTO)のデアンコウ・ロセン氏(36)を支えています。2019年11月にはファーストリテイリングとの提携を発表し、世間を賑わせました。会見でのアピールを「技術的に100%正確ではない」と指摘するロセン氏に対し、滝野氏が「社会に理解してもらう努力が大切なのだ」と諭す一幕は、この二人の絶妙な役割分担を象徴しています。

ベンチャーキャピタルの専門家も指摘するように、特に大学発のテック系スタートアップにおいて、経営戦略や財務を担う文系人材の参画は不可欠です。どれほど素晴らしい技術であっても、独りよがりになってしまえば社会には届きません。

スタートアップを自動車に例えるなら、天才エンジニアは爆発的な加速力を生み出す「超強力なエンジン」であり、プロデュース人材は進むべき方向を決める「ハンドル」と危険を察知する「ブレーキ」です。どちらが欠けても車はまともに走りません。この二つの才能がガッチリと噛み合ったときこそ、世界を大きく変えるイノベーションが誕生するのだと確信しています。

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