中国湖北省武漢市で猛威を振るう新型コロナウイルスによる肺炎の拡大に直面し、日本政府は現地に留まっていた日本人の救出へと大きく舵を切りました。2020年1月29日の午前、待望の第1便となる民間チャーター機が羽田空港へ無事に到着したのです。機内に乗っていた206人の邦人は全員が日本国籍を保持しています。故郷の土を踏んだ彼らからは、一様に安堵の表情がこぼれていました。
緊迫した情勢の中での迅速な帰国劇に対し、SNS上でも大きな反響が巻き起こっています。ネット上では「ひとまず無事に帰国できて本当に良かった」「全日空の乗務員や医療関係者の勇気ある行動に心から感謝したい」といった温かい声が数多く投稿されました。その一方で、未知のウイルスに対する恐怖から「水際対策は本当に万全なのだろうか」と、今後の国内への感染拡大を懸念するシビアな意見も交錯しています。
今回帰国した方々のうち、体調の異変を訴えた30代から50代の男性3名と50代の女性1名の合わせて4名が、東京都内の感染症指定医療機関へと救急搬送されました。搬送先となったのは、大田区にある都保健医療公社の荏原病院です。関係者からの情報によりますと、そのうちの2名に発熱や咳といった具体的な症状が確認されています。一刻も早い回復を願うとともに、徹底的な医療管理体制の構築が求められます。
このチャーター機には、医師1名と看護師2名から構成される専門の医療チームが同乗しました。搭乗前に健康状態の聞き取りを行い、機内では発熱などの症状が見られる人とそうでない人の座席を隔離する徹底ぶりが敷かれています。さらに症状のない帰国者についても、新宿区の国立国際医療研究センターで精密な検査を実施する方針です。ウイルスへの警戒を片時も怠らない、徹底した防衛策が講じられています。
たとえ検査結果が陰性であっても、帰国者は自宅や政府が用意した宿泊施設などで2週間ほど待機することになります。毎日の検温を含めた厳重な経過観察が求められますが、これは国内の安全を守るために不可欠な措置と言えるでしょう。菅義偉官房長官は2020年1月29日の会見で、まだ現地には440名の帰国希望者が残されていると発表しました。政府は同日夜に第2陣、翌30日には第3陣を派遣する予定です。
治安悪化の際に政府がチャーター機を出す事例は過去にもありましたが、今回のような感染症の流行による派遣は極めて異例の決断です。これに呼応するように、政府は2020年1月28日、この新型肺炎を「指定感染症」と「検疫感染症」に指定することを閣議決定しました。指定感染症とは、感染拡大を防ぐために患者の強制入院や就業制限などを法律に基づいて命令できるようになる、非常に重い位置づけの公衆衛生上の分類です。
今回の法指定により、患者の治療にかかる医療費が公費負担となるため、経済的な懸念なく適切な医療を受けられる環境が整います。日本国内ではこれまでに7名の感染が確認されており、一刻の猶予も許されない状況です。危機に瀕した国民を救い出すために超法規的とも言えるスピードで動いた政府の姿勢は、大いに評価されるべきでしょう。今後も二次感染の防止と、残された邦人の全員救出に向けた万全の舵取りを期待します。
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