青いパッケージでお馴染みの国民的飲料が、今や世界の乾きを癒やす存在へと進化を遂げています。大塚製薬は、健康の維持や増進に役立つ「ニュートラシューティカルズ(NC)事業」の強化に乗り出しました。これは、栄養を意味するニュートritionと医薬品を意味するpharmaシューティカルを組み合わせた造語で、科学的根拠に基づいた食品や飲料を展開する同社の中核事業です。
この頼もしい事業を牽引するのが、スポーツ飲料の「ポカリスエット」、サプリメントの「ネイチャーメイド」、そして欧州で展開する健康食品「ニュートリション・エ・サンテ(N&S)」の主要3ブランドです。大塚製薬はアジアを主軸にグローバル展開を加速させ、これら3つのブランドによる売上高を、現在の約2100億円から2023年までに2500億円へと、一気に2割も引き上げる意欲的な計画を発表しました。
特にポカリスエットの勢いは凄まじく、次期中期経営計画の期間中に単体で1000億円大台のブランドへと成長させる目標を掲げています。SNSでは「海外のコンビニでポカリを見つけると安心する」「熱帯地域のお守り的存在」といった声が上がっており、その信頼性の高さが伺えます。同社はフィリピンやタイ、ミャンマーを重点地域に指定し、これまでの代理店委託から自社販売への切り替えを急ピッチで進めています。
大塚製薬の強みは、現地のニーズに寄り添う徹底したマーケティングです。2019年11月から12月にかけてフィリピンで開催された東南アジア競技大会では、初めて協賛企業として名を連ねました。熱帯地域特有の熱中症や、感染症に伴う脱水症状に対して、科学的な水分補給の重要性を丁寧に伝えることで、ブランドの価値をじわじわと浸透させています。
アジア・パシフィック地域におけるこの市場は、2011年の約20億ドルから2018年には約35億ドルへと急拡大を遂げました。健康志向の高まりからスポーツイベントも活況を呈しており、今後もさらなる市場の成長が見込まれています。単にモノを売るだけでなく、現地の健康課題を解決するという大塚製薬の姿勢は、持続可能なビジネスモデルとして非常に素晴らしいと感じます。
さらに、1000億ドル規模を誇る世界のサプリメント市場では、ネイチャーメイドが新たな挑戦を始めています。それは、顧客一人ひとりの体質や悩みに最適化された栄養を提供する「パーソナライズドニュートリション」という次世代のサービスです。米国の子会社は2019年3月に現地のベンチャー企業と提携し、同年5月には個人の状態に合わせたビタミン剤を調合して届ける革新的なサービスを始動させました。
この個別化された栄養供給という試みは、画一的なサプリメントの常識を覆すものであり、健康管理の未来を先取りしています。北米で絶大な人気を誇るネイチャーメイドですが、世界のサプリ市場の約半分を占めるアジアへの本格展開もスタートしました。現地の旺盛な健康意識を取り込むことで、ブランドの世界的地位はさらに盤石なものになるでしょう。
一方、欧州では「グルテンフリー(小麦などに含まれるタンパク質を除去した食事)」や有機食品の需要が爆発的に高まっています。フランスの子会社であるN&S社は2017年にグルテンフリーの専門工場を新設し、2018年には現地の有機食品メーカーを買収しました。世界各国の食文化や健康トレンドに合わせた大塚製薬の柔軟なグローバル戦略は、見事の一言に尽きます。
ポカリスエットは現在、アジアや中東を中心に20の地域へ進出しており、その青いボトルは国境を越えて愛されています。それぞれの地域で確固たる地位を築いた3大ブランドが、今後は互いにシナジーを生み出しながら世界をリードしていくに違いありません。大塚製薬が仕掛けるこの壮大なグローバル戦略の行方から、今後も目が離せそうにありません。
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