日本製鉄が呉製鉄所を全面閉鎖へ!中国台頭と保護主義の波に立ち向かう日本の鉄鋼王、次なる生き残り戦略とは?

日本のものづくりを象徴する巨人が、歴史的な大転換期を迎えています。日本製鉄が国内の生産能力を大幅に削減する方針を固め、業界内に大きな衝撃が走りました。なんと広島県呉市にある呉製鉄所の高炉休止にとどまらず、同社の歩みにおいて前例のない製鉄所自体の全面閉鎖まで視野に入れて検討を進めているのです。これまでの常識を覆す「聖域なきリストラ」へと打って出た背景には、急激な環境の変化が存在します。

ネット上やSNSでは、このニュースに対して「地元の雇用や経済への影響が心配」「日本の基幹産業がここまで追い詰められているとは」といった、不安や驚きの声が多数寄せられていました。かつて世界をリードしていた日本の鉄鋼業が、これほどまでのドラスティックな変革を迫られている現実に、多くの方が危機感を募らせている模様です。

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過去20年で勢力図が激変!巨大化する中国勢の脅威

日本製鉄のトップである橋本英二社長は、2019年4月1日の社名変更(旧:新日鉄住金)に伴い初代社長に就任した直後から、ライバルへの強い警戒感を表明していました。同氏が「世界の半分を生産する中国の存在は脅威であり、今後はさらに熾烈な戦いが待っている」と警鐘を鳴らし続けていた通り、世界の鉄鋼市場の勢力図はここ20年で完全に塗り替えられてしまったのです。

世界鉄鋼協会のデータを見ると、その差は一目瞭然でしょう。2000年時点の粗鋼生産量(国や企業が生産した、加工する前の段階の鉄鋼の総量)ランキングでは、当時の新日本製鉄が世界首位に君臨し、上位10社の中に中国企業はわずか1社しか存在しませんでした。しかし、2018年には2位の宝武鋼鉄集団を筆頭に中国勢が6社もランクインし、日本製鉄は3位へと転落してしまいました。

米中貿易摩擦が拍車をかける保護主義の台頭

一時期は国際的な批判を受けて違法な設備を廃棄するなど、生産を抑えていたかに見えた中国ですが、事態を急変させたのがアメリカのトランプ政権による関税発動です。米中貿易戦争の勃発に直面した中国政府は、国内の景気を下支えするために経済刺激策を打ち出し、再び鉄鋼の猛烈な増産へと舵を切りました。

結果として、2019年の中国の粗鋼生産量は前年比8.3%増となる9億9634万トンを記録し、4年連続で過去最高を塗り替えています。2020年には前人未到の10億トンの大台を突破する見通しであり、もはや世界全体の生産量の半分以上を中国が一国で占める異常事態となっています。こうした過剰生産と各国の保護主義(自国の産業を守るために輸入を制限する動き)が、日本の輸出環境を直撃しているのです。

生き残りをかけた構造改革と高付加価値化へのシフト

日本製鉄はすでに、国内に点在する16カ所の製鉄所を2020年4月1日付で組織上6つに統合することを発表しています。しかし、需要が戻らない中で巨大な設備を維持し続けるコストは限界に達していました。これまでは高炉を止めても加工設備は残してきましたが、もはやそうした甘えは許されない経営環境にあります。

日本国内の需要が先細り、輸出も望めない以上、身の丈に合った生産体制への縮小は避けられない決断だと言えます。今後は自動車向けの軽量で頑丈な高機能鋼板など、他国が真似できないハイレベルな技術力が必要とされる「高付加価値分野」へ経営資源を集中させる方針です。今回の呉製鉄所の閉鎖検討は、日本の鉄鋼業が生き残るための壮大な構造改革の始まりにすぎないと考えます。

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