世界的な半導体市場の冷え込みに、ようやく明るい兆しが見えてきました。半導体製造装置で世界屈指のシェアを誇る東京エレクトロンが、2020年1月30日に最新の決算を発表したのです。2019年10月から2019年12月期における連結純利益は、前年の同じ時期と比べて1%増加し、493億円に達しました。これまで四半期ベースでのマイナス成長が続いていた同社にとって、実に4四半期ぶりの嬉しい黒字反転となります。
今回の業績回復を力強く牽引した主役は、次世代通信規格である「5G」の本格的な普及です。超高速・大容量の通信を可能にする5Gの到来によって、最新のスマートフォンや、膨大なデータを処理するデータセンター向けの半導体需要が爆発的に拡大しています。SNS上でも「いよいよ5G特需がリアルな数字になってきた」「半導体サイクルの底打ちを感じる」といった、市場の復活を確信する好意的な声が多数寄せられている状況です。
特に注目すべきは、AIの頭脳などに使われる「ロジック半導体」と呼ばれる主要な電子部品を手掛ける顧客メーカーたちの投資熱です。これに呼応するように、東京エレクトロンの同期間の売上高は、10%増の2954億円と素晴らしい大躍進を遂げました。このロジック半導体とは、高度な演算処理を専門に行う回路のことで、5G時代を支えるスマートフォンや最先端のIT機器には絶対に欠かせない、まさに心臓部とも言える極めて重要な存在です。
台湾や北米といった海外の主要な半導体メーカーからの注文も順調に回復しており、同社の強みである製造装置が飛ぶように売れています。具体的には、ウエハーと呼ばれる半導体の基板に微細な穴や溝を彫り刻む「エッチング装置」のほか、基板に光を感知する薬剤を精密に塗布して回路パターンを現像する「コータ・デベロッパ」などの基幹製品が大きく業績を伸ばしました。専門的な日本のものづくり技術が、世界の最先端インフラを支えています。
同日の記者会見で笹川謙経理部長は、5G向け半導体が著しく伸びており、2020年も旺盛な投資が継続するという非常に頼もしい見解を示しました。この強気な姿勢の背景には、技術革新に対する確固たる自信が垣間見えます。私は、今回の回復劇は一時的なものではなく、社会のデジタル化が加速する中での必然的なトレンドであると考えており、同社が誇る高い技術力は今後も世界中で重宝され続けるに違いないと確信しています。
さらに同社は、株主への利益還元についても驚きの太っ腹な施策を打ち出しました。自社が保有する800万株の株式を2020年2月28日に消却すると発表したのです。これは発行済み株式の4.84%に相当し、市場に流通する株の価値を高める効果があります。同時に期末の配当金を従来の計画から3円上乗せした293円に引き上げることも決定しました。配当性向50%を目安とする同社らしい、投資家を大切にする姿勢は見事です。
一方で、2020年3月期の通期業績予想については、売上高が13%減の1兆1100億円、純利益が32%減の1700億円という従来の慎重な見通しを据え置いています。データ記憶用に使われるメモリー半導体分野の顧客投資が、未だに完全な調子を取り戻していない現実を踏まえた冷静な判断と言えるでしょう。しかし、5Gの波がこのまま世界を包み込めば、近い将来に完全なV字回復を遂げる可能性は極めて高いと考えられます。
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