日常の喧騒から離れて心を満たす、素敵な週末を過ごしてみませんか。栃木県那須塩原市の黒磯駅から板室温泉へと続く県道369号、通称「板室街道」が、いま熱い注目を集めるアートの聖地へと変貌を遂げています。世界的な巨匠のギャラリーから新進気鋭の若手作家が集うカフェまで、まるで街道全体がひとつの美術館のようです。SNSでも「ドライブしながら気軽にアートに触れられるのが最高」「お洒落なスポットが凝縮されている」と、感度の高い人たちの間で話題を呼んでいます。
この街道沿いに点在する貴重なアート資源を活かして、那須塩原市は2019年に地域活性化プロジェクト「ART369」を始動させました。映画祭や体験型のワークショップなどを随時開催し、このエリアの魅力を精力的に発信しています。ただ作品を眺めるだけでなく、地域の自然や食と一緒に芸術を五感で楽しめるのが最大の魅力でしょう。単なる観光地巡りにとどまらない、知的好奇心を刺激する新しい旅の形がここにあります。
木造校舎で味わう、地元食材と若手アートの融合
東北自動車道の黒磯板室インターチェンジから車を走らせること約10分、那須連山の山並みが描かれた可愛らしい看板が見えてきます。ここがアート旅の最初の目的地となるカフェ「北風と太陽」です。驚くべきことに、この施設は築60年を超える小学校をリノベーション(大規模な改修を行って新たな価値を与えること)して生まれました。広々とした校庭がそのまま駐車場になっており、かつての教室が温もり溢れるカフェやギャラリーへと生まれ変わっています。
木造校舎のノスタルジックな雰囲気を残したカフェの壁面には、四季折々で変化する若手アーティストの瑞々しい作品が展示されています。大きな窓の外に広がる、春の桜や秋の紅葉といった素晴らしい自然の絵画との共演は見事の一言に尽きるでしょう。運営を担う社会福祉法人の松本和重統括施設長は、季節の移り変わりを芸術と景色、そして地元ならではの新鮮な食材をふんだんに取り入れたお料理のすべてで堪能してほしいと、その熱い想いを語ってくださいました。
さらにカフェの奥に位置する教室は、地元の作家を中心とした作品を月替わりで展示販売する特別なギャラリー空間です。アートを身近に感じられる工夫が随所に凝らされており、2020年3月には全国から公募した障害者アートの展覧会も予定されています。型にはまらない自由な表現力に出会える貴重な機会となるはずです。お気に入りの作品を手に入れる喜びも、この場所なら気軽に体験できるのではないでしょうか。
巨匠たちの名作に心震える、至高の温泉宿とプライベートギャラリー
「北風と太陽」からさらに車で10分ほど進むと、「保養とアートの宿」として名高い温泉旅館「板室温泉大黒屋」に到着します。美しい日本庭園に一歩足を踏み入れると、世界的な現代美術家である菅木志雄氏の巨大な立体作品が圧倒的な存在感で出迎えてくれるでしょう。現代美術とは、歴史や社会的な背景を踏まえ、従来の美の概念に捉われない革新的な表現を目指す芸術ジャンルのことです。菅氏が紡ぎ出す独特の空間美は、訪れる人の心を深く揺さぶります。
こちらの旅館の近くには、菅氏の作品を多数所蔵している「倉庫美術館」もひっそりと佇んでいます。午前10時からの回のみとなりますが、事前に連絡をすれば見学をすることが可能です。普段なかなかお目にかかれない貴重なコレクションを間近で鑑賞できるため、アートファンなら見逃せません。温泉で日頃の疲れを癒やしながら、一流の芸術にどっぷりと浸かる時間は、まさに大人のための贅沢なリフレッシュ法と言えます。
そして、この街道を語る上で外せないのが、世界に熱狂的なファンを持つ奈良美智氏のアトリエ風ギャラリー「N’s YARD」です。奈良氏の代名詞とも言える、挑戦的な視線が印象的な少女の絵画や立体作品はもちろん、彼自身が長年収集してきたレコードジャケットやこだわりのオブジェなどが並びます。作家の脳内を覗き見るようなワクワク感が楽しめますが、12月中旬から3月中旬までは冬季休館となりますので、お出かけの際はご注意ください。
編集部がおすすめする、ART369を120%楽しむドライブのコツ
今回ご紹介したアートスポットは、すべて県道369号沿いに位置しているため、道に迷う心配がなく初心者でも快適なドライブが楽しめます。地方の芸術祭やアートプロジェクトは敷居が高く感じられがちですが、このようにカフェや温泉宿といった日常の延長線上にあるスポットが拠点となっていることで、誰でも気軽に立ち寄れるのが素晴らしい点だと私は考えます。お気に入りの音楽を車内で流しながら、感性を磨く休日を過ごしてみてはいかがでしょうか。
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