WTOの機能不全を救う一手?EUや中国ら16カ国が暫定上訴制度の設置で合意!日本と米国の動向にも注目

国際貿易のルールを守るための砦とも言える世界貿易機関(WTO)が、いま重大な局面に立たされています。スイス東部のダボスで2020年01月24日、WTOの紛争処理制度がストップしている問題について、大きな動きがありました。欧州連合(EU)や中国、カナダ、ブラジルなど16カ国が、臨時の「暫定上訴制度」を立ち上げることで合意したのです。

このニュースに対し、SNS上では「主要国だけで独自のルールを作るのは不公平だ」「アメリカを抜きにして貿易の安定は守れるのか」といった不安の声が上がっています。その一方で「WTOが完全に麻痺するのを防ぐためには、仕方のない緊急措置だろう」と評価する意見も多く、ネット上でも議論が白熱している印象を受けます。

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最高裁判所が動かない?WTOを襲う機能不全の真相

そもそも、なぜこのような臨時制度が必要になったのでしょうか。その原因は、WTOにおける「裁判」の最終審(2審)を担う上級委員会が、完全にストップしていることにあります。本来は7人の委員で構成されるべき場所ですが、現在は任期切れなどでわずか1人しか残っていません。案件を審理するには最低でも3人の委員が必要なため、現在は機能停止に陥っています。

こうした事態を招いた背景には、トランプ氏が率いる米国の存在があります。米国はWTOのこれまでの判断に不満を持っており、新しい委員の補充や再任を拒否し続けているのです。一審の判決に納得がいかない国が上訴しても、審理すら始まらないという、なんとももどかしい状態が続いています。これでは、不当な貿易制限に対抗する手段が失われてしまいます。

米国と日本は不参加!合意に込められたEUの狙いと各国の思惑

今回の暫定上訴制度は、あくまでEUの提案に賛同した16カ国の間だけで適用される、一時的な枠組みになる見通しです。合意メンバーには中国や南米の雄であるブラジルなどが名を連ねていますが、ここには日本や米国は含まれていません。EUの通商担当であるホーガン欧州委員は、これが根本的な解決ではなく、あくまで上級委員会の完全復活を目指すためのステップであると強調しています。

貿易の安定を最優先するEUや、米国との対立を抱える中国にとっては、何としてもルールの枠組みを維持したいという思惑が透けて見えます。しかし、世界の経済を牽引する米国や日本が参加しないシステムが、どこまで実効性を持つかは不透明です。ルールなき「貿易戦争」へと突入することを防ぐための、苦肉の策と言えるでしょう。

トランプ大統領の強気な姿勢と今後のWTO改革の行方

同じく2020年01月24日に閉幕した世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、トランプ米大統領も会見を行いました。トランプ氏はWTOの改革に向けて「非常に劇的なことを実行する」と宣言し、強い不満を隠しませんでした。特に、経済大国となった中国がWTO内で未だに「途上国」として扱われ、貿易の優遇措置を受けている点を厳しく批判しています。

WTOのアゼベド事務局長は、今回の閣僚会合を経て「短期間でさらなる前進が可能だ」と前向きな姿勢を示しており、近いうちに米国を訪問して直接協議に臨む構えです。私は、米国が主張する「中国への優遇見直し」にも一理あると感じます。形骸化した古いルールをアップデートし、全加盟国が納得できる新しいWTOへと生まれ変わることを期待したいところです。

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