私たちが日常的に排出しているプラスチックごみの行く末に、今、大きな異変が起きています。中国による廃プラスチックの輸入規制が導入された影響により、日本国内で処理しきれないごみが滞留し始めているのです。
リサイクルされずにそのまま埋め立てられたり、焼却処分されたりする「未利用廃プラ」が、なんと2018年に18年ぶりの増加に転じました。SNS上でも「日本のごみ問題は人ごとではない」「分別しているのにショック」といった、危機感を募らせる声が数多く寄せられています。
プラスチック循環利用協会の発表によると、2018年に国内で発生した廃プラスチックは891万トンに達しました。そのうち、燃料や衣料品などに再資源化されなかった未利用のボリュームは142万トンを記録し、2017年から14万トンも増えています。
これまではリサイクル技術の進歩によって未利用分は減少傾向にありましたが、状況は一変しました。2017年末に中国が環境対策などを理由に輸入規制を断行したことが、ドミノ倒しのように日本国内の処理を直撃した格好です。
これまで日本は年間およそ130万トンの廃プラスチックを海外に輸出してリサイクルを委託しており、その半分以上を中国に依存していました。2018年は中国の規制によって輸出量が3割も激減し、行き場を失ったごみが国内に溢れかえっています。
環境省は国内の滞留を解消すべく、日本の処理業者へリサイクル施設の増産投資を呼びかけています。しかし、国内の事業者は大規模な投資に対して非常に慎重な姿勢を崩していません。人口減少に伴って長期的にはごみの量が減ると見込んでおり、採算が取れないと判断しているためです。
さらに追い打ちをかけるように、アジア圏での規制強化は連鎖しています。2018年以降、タイやベトナムなどの東南アジア諸国も相次いで受け入れ制限を表明しました。2020年1月には、マレーシアが日本を含む13カ国に対して不法な廃プラを送り返すという強硬な声明を発表しています。
このような状況を受け、同協会は2019年の未利用廃プラが2018年以上に増加する可能性を指摘し、強い警鐘を鳴らしています。私たちは安易にプラスチックを消費する生活そのものを見直す、歴史的な転換点に立たされていると言えるでしょう。
日本の業者が投資をためらう一方で、驚くべきことに中国や台湾の企業は日本国内でのビジネスチャンスを見出しています。日本はごみの回収ルートが極めて優秀であり、分別されたきれいな資源が集まりやすいため、リサイクルにかかる費用を抑えられるという大きな利点があるのです。
例えば、台湾系の遠東石塚グリーンペットは2030年までに再生樹脂の販売量を現在の2.5倍に引き上げる計画を掲げ、西日本への工場新設も視野に入れています。また、中国系の大発関東は2018年に埼玉県へ20億円を投じて2つの新工場を稼働させました。
海外勢が日本のクオリティ高い分別ごみに目をつけ、次々と商機を見出している現状には複雑な思いを抱かざるを得ません。国内企業の腰が重い中、日本の資源循環を海外資本に頼り切って良いのかという点は、今後の国の安全保障にも関わる重大な議論になるはずです。
これからは政府による強力な財政支援とともに、官民が一体となって国内の処理基盤をリビルドしていく必要があります。私たち消費者がリデュースを意識することはもちろん、日本の優れたリサイクル産業を国内の手で守り育てる姿勢が、今こそ強く求められているのです。
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