なぜ今、資産運用のプロたちは「オルタナティブ投資」へ舵を切るのか?手数料競争の裏側と変革の潮流

いま、世界中の大手運用会社がこれまでのビジネスモデルを根本から見直す、まさに正念場を迎えています。これまで運用会社の収益源として揺るぎない地位を築いてきた投資信託ですが、今や手数料の引き下げ競争が過熱の一途をたどっています。投資家が「指数連動型」のパッシブ運用を好むようになり、国内でも信託報酬が年0.1%を下回る投信が登場するなど、まさに価格破壊が起きているのです。PwCの調査によれば、世界の投信における信託報酬は2017年の年0.44%から、2025年には0.36%まで2割程度減少すると予測されています。

そんな状況下で、各社が新たな「稼ぎ頭」として熱視線を注いでいるのが「オルタナティブ(代替投資)」です。これは、株式や債券といった伝統的な投資対象以外の資産に投資する手法を指します。具体的には、ヘッジファンドや不動産、さらには発電施設などのインフラ資産が含まれます。これらの資産は、極めて複雑な運用手法や、流動性が低い投資先を慎重に見極める専門的なノウハウが不可欠です。それゆえ、投信と比べて相対的に高い手数料が見込めるという側面があります。

スポンサーリンク

なぜ今、オルタナティブなのか?

なぜ、ここまで各社がオルタナティブに傾倒するのでしょうか。大きな理由は、世界的な「低金利」環境の継続です。利回りを確保することが難しくなった投資家たちは、多少のリスクをとってでも資産を増やしたいという強いニーズを抱えています。実際に、2019年8月から10月に実施された日経企業年金実態調査では、今後配分を増やしたい資産としてオルタナティブがトップに挙がりました。

専門家からは「この分野は、情報開示や管理体制のハードルが非常に高くなっています。だからこそ、盤石な内部管理体制を持つ大手運用会社の優位性が際立つのです」といった声も聞かれます。確かに、SNS上でも「低金利時代に少しでも運用益を狙うなら、オルタナティブを検討せざるを得ない」「管理体制がしっかりしている大手にお願いできるのは安心感がある」といった、投資家側の現実的な視点での投稿が散見されます。

各社の挑戦と向き合うべき課題

具体的な動きも加速しています。アセットマネジメントOneは2020年3月までにアジア株のヘッジファンド事業を立ち上げ、シンガポールを拠点に運用を強化します。また、ピクテは欧州不動産ファンドを設定し、三菱UFJ信託銀行はインフラ投資へ積極的に取り組んでいます。アライアンス・バーンスタインなども、2019年に日本で運用チームを拡充しました。

しかし、課題も残されています。独立系のファンドと比較すると、銀行や保険会社傘下の運用会社は、優秀なファンドマネージャーへの報酬面で不利になりがちです。これに対して「新チームには別の報酬体系を適用する」といった工夫も見られますが、本質的には組織全体の給与体系を含めた抜本的な変革が必要になるでしょう。私自身、この動きを非常にポジティブに捉えています。手数料競争という厳しい現実が、結果として運用会社の専門性を高め、投資家に対してより多様で質の高い選択肢を提供することにつながるからです。今後、日本市場がこの新たな運用スタイルをいかに定着させていくか、目が離せません。

コメント

タイトルとURLをコピーしました