岐路に立つ日本のメガバンク:収益力強化へ向けた「資産拡大戦略」の転換点

2020年2月5日の時点で、日本の金融業界に警鐘を鳴らすようなニュースが飛び込んできました。三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友フィナンシャルグループ、そしてみずほフィナンシャルグループという、国内を代表する3大メガバンクの収益力が、かつてないほど厳しさを増しているのです。2019年4月から12月期の連結決算において、揃って減益という結果に終わりました。

SNS上では、「銀行株は厳しい時代になった」「国内の金利低下で稼げないのは知っていたが、海外で勝負しても報われないのか」といった、将来への不安や懸念の声が目立ちます。投資家からも、規模ばかりを追い求めてきたこれまでのビジネスモデルに対する疑問が突きつけられていると言えるでしょう。

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拡大戦略の歪みと収益力の格差

ここでまず、なぜこれほどまでにメガバンクが苦境に立たされているのか、その背景を整理しましょう。日本のメガバンクは、リーマン・ショック後の10年間、米欧の銀行が慎重な姿勢を見せる中で、海外での買収や融資を積極的に進め、驚異的なペースで資産規模を拡大してきました。しかし、その結果はどうだったのでしょうか。

実は、資産規模は大幅に増えたものの、それに見合う利益は伴っていません。ここで重要となるのが「ROA(総資産利益率)」という指標です。これは、銀行が保有する資産をどれだけ効率的に利益に結びつけられたかを示す専門用語で、いわば銀行の「稼ぐ力」を測る物差しです。米大手銀のROAが上昇傾向にある一方、邦銀はここ10年間、0%台前半の低水準で横ばいが続いています。

「サステイナブルではない」経営からの脱却へ

海外融資は競争が激しく、十分な利ザヤを確保できないことも珍しくありません。リスクばかりが膨らみ、収益性が低い状態では、経営の安定性さえも危ぶまれます。三菱UFJフィナンシャル・グループの三毛兼承社長が1月の会見で、「バランスシート(貸借対照表)を拡大させて成長するのはサステイナブル(持続可能)ではない」と断言したことは、非常に重い意味を持っています。

私個人としては、この戦略転換は必然だと感じています。いたずらに巨大な組織や膨大な資産を持つことが正義だった時代は終わり、これからは「量より質」の経営が問われるのです。今後は、海外融資を厳選しつつ、運用ビジネスや富裕層向けサービス、大型の協調融資といった、より高い収益性が見込める分野へどれだけリソースを集中できるかが、勝敗を分けることになるでしょう。

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