2020年2月3日の節分の日、皆さまはどのように過ごされたでしょうか。豆まきをしながら、年の数だけ豆を食べるという古くからの風習ですが、実はこの伝統的な行事に対して、ある興味深い視点が提起されました。
東北大学名誉教授の原山優子氏が、節分の掛け声である「鬼は外、福は内」という言葉に潜む、現代社会の課題を指摘したのです。この画期的な考察は、インターネット上でも「その視点はなかった」「確かに都合の良い考え方かもしれない」と、SNSを中心に大きな反響を呼んでいます。
「鬼は外」に潜む二分法と現代の移民政策
幼い頃は純粋に楽しんでいた豆まきも、親の立場になると「食べ物を投げるのはもったいない」「後の掃除が骨の折れる作業だ」と、現実的な悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。しかし原山教授は、年齢を重ねるにつれてさらに一段深い疑問を抱くようになったと言います。
それは、「鬼は外、福は内」という言葉が、自分にとって利益をもたらすものだけを受け入れ、不快なものを一方的に排除するという、自己中心的な発想に基づいているのではないかという気づきでした。物事を白と黒の二極端で判断する思考法に、強い違和感を覚えたというわけです。
この「白黒をつける」という二分法の論理は、驚くべきことに現代の世界的な移民政策の動きとも深くリンクしています。現在、多くの先進国では、自国の経済成長を牽引してくれる「高度人材」を優遇し、それ以外の人々には厳しい制限を設けるというアプローチを採用するのが主流です。
ここで言う高度人材とは、膨大な情報からビジネスの価値を見出す「データサイエンティスト」や、人工知能の開発・運用を担う「AI人材」など、最先端の専門知識を持つ人々のことを指します。世界中で彼らの熾烈な争奪戦が繰り広げられており、まさに国を挙げた「福は内」の状況と言えるでしょう。
予測不能な時代を生き抜く「多様性」という強み
しかし、社会のトレンドや求められる技術は、オセロの盤面のように劇的なスピードでひっくり返る性質を持っています。今日重宝されている「白」のスキルが、明日も同じように輝き続ける保証はどこにもありません。逆に、今は無用と思われている「その他」の能力が、突然貴重な存在になる可能性も十分に秘めているのです。
だからこそ、一見無駄に思えるような能力も含む「ポートフォリオ(金融用語から転じ、ここでは多彩な人材やスキルの組み合わせを指す言葉)」を構築することが重要になります。それぞれが放つ独自の色や潜在能力を社会全体で育てていく姿勢こそが、これからの国家や企業の揺るぎない強みへと繋がっていくはずです。
インターネットメディアの編集者としてこの記事を読み、私自身も深く共鳴いたしました。社会に革新をもたらすイノベーションは、同質的な集団からではなく、異質なもの同士のぶつかり合いから生まれるものです。排除されるべき「鬼」のなかにこそ、未来を切り拓く斬新なアイデアの種が隠されていると言っても過言ではありません。
自分とは異なる価値観や能力を「鬼」として遠ざけるのではなく、うまく付き合い、共に面白いことを仕掛けていく懐の深さが、今の私たちには求められています。原山教授が提案するように、来年の2021年2月2日の節分には、ぜひ皆さんも「福は内、鬼も内」と唱えてみてはいかがでしょうか。
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