国の大きな方針転換から2年が経過し、地方のビジネスシーンに劇的な変化が訪れています。厚生労働省が2018年1月29日に「モデル就業規則」を改定し、副業や兼業を実質的に解禁して以来、長野県内でも最前線で活躍するプロフェッショナルな「副業人材」が急増しているのです。この動きは、従来の雇用形態にとらわれない新しい人材の流動化を生み出し、深刻な人手不足に悩む地方企業の救世主として今まさに大きな注目を集めています。
インターネット上でも「優秀な都市部のプロが地方で腕を振るうのは双方にメリットがある」「リモートワークを活用した新しい地域貢献の形だ」といった、好意的な意見や関心の声が多数寄せられており、SNSでの反響も日を追うごとに高まっています。人口減少が進む地方において、外部の知見を柔軟に取り入れるこの先進的な取り組みは、今後の地域経済を占う上で極めて重要な鍵を握っていると言っても過言ではないでしょう。
実際に長野県上田市にある総合玩具卸の「ウスザワ」では、2019年に入ってから中国のネット大手が運営するグローバルな取引基盤に参入し、海外展開への第一歩を踏み出しました。しかし、国際的な商談には高度な語学力が不可欠となるため、同社は東京の大手電機メーカーで海外営業の経験を持つ優秀な人材を副業として迎え入れる決断を下したのです。少子化による国内市場の停滞を打破するため、外部の専門性をてこに海外進出を急ぐ姿勢は、中小企業の新しい生存戦略として見事な手腕だと感じます。
また、業務の効率化を目指して生産性向上に成功した事例も存在します。岡谷市の精密部品製造業「ニシキ精機」では、2019年11月1日から副業のエンジニアを登用し、過去の製造プログラムを瞬時に検索できる社内ツールの開発を依頼しました。月に20時間ほどの限られた勤務時間でありながら、専門会社にシステム開発を外部委託(アウトソーシング)するよりも劇的にコストを抑えることができた同社の試みは、限られた予算で最大の効果を生む賢明な選択です。
行政の巻き込みと定着に向けた課題
民間企業に留まらず、この変革の波は行政の現場にも波及しています。長野市では2019年10月1日に、市の中長期的な未来を描くプランづくりの「戦略マネジャー」として4人の副業人材を登用しました。定期的な会議だけでなく、実際に地域へ出向いて行う実態調査(フィールドリサーチ)も予定されており、官民が一体となった先進的な自治体経営のモデルケースとして、日本全国の地方自治体に勇気を与える素晴らしい試みであると私は確信しています。
一方で、人材仲介を手掛ける「JOINS」の仲介実績が急増する反面、契約が短期で終了したり想定より長続きしなかったりする運用の難しさも浮き彫りになってきました。副業人材を有効に活用するためには、企業側が「具体的にどのような経営課題を抱えており、何を解決してほしいのか」を明確に言語化して切り出す能力が求められます。単に「優秀な人を雇えば解決する」という丸投げの姿勢では、せっかくのプロのスキルも宝の持ち腐れになってしまうでしょう。
長野県内の15歳から64歳までを指す「生産年齢人口」の割合は、2019年時点で55.9%まで落ち込んでおり、働き手の減少は一刻の猶予もない深刻な課題です。だからこそ、この柔軟な働き方を一過性のブームで終わらせてはなりません。企業側が受け入れ体制をアップデートし、副業人材との並走力を磨くことこそが、これからの地方創生をより強固なものにする本当の分岐点になるはずです。
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