世界中で猛威を振るい始めている新型コロナウイルスによる肺炎ですが、隣国である北朝鮮が異例の超強硬策に打って出ました。2020年01月31日から、中国やロシアと結ぶすべての航空便や鉄道の運行をストップさせています。さらに驚くべきことに、韓国との唯一の対話窓口である開城の南北共同連絡事務所まで一時閉鎖しました。徹底的にヒトの流入を拒絶するこのニュースは、SNSでも「本気の鎖国状態だ」「どれだけ危機感を持っているかが伝わる」と大きな反響を呼んでいます。
北朝鮮がここまで過剰とも言える厳戒態勢を敷く背景には、国内の医療インフラの脆弱さがあります。専門用語でいう「防疫(ぼうえき)」とは、感染症の発生や侵入、そして拡大を防ぐための衛生管理や予防措置のことです。北朝鮮は首都の一部を除いて衛生環境が非常に劣悪であり、万が一ウイルスが国内に入り込んでしまえば、爆発的な大流行を食い止める手段がありません。こうした感染症の蔓延は、指導部の基盤そのものを揺るがす重大な脅威になり得るため、彼らは必死の防衛線を張っているのでしょう。
過去の感染症流行時を上回る「国家非常防疫態勢」の緊迫感
北朝鮮は、かつて2003年に流行した重症急性呼吸器症候群(SARS)や、2015年の中東呼吸器症候群(MERS)の際にも同様の国境封鎖を行ってきました。しかし、今回の新型コロナウイルスに対する危機感はこれまで以上と言えます。指導部はすでに「国家非常防疫態勢」を大々的に宣言しました。国営メディアは連日のように警戒を呼びかけており、2020年02月01日付の労働新聞では、万事を後回しにしてでも予防対策に総力を挙げるよう国中に強く訴えかけています。
今回の措置で注目すべきは、中国からの入国者に対して1ヶ月間もの隔離義務を課している点です。通常の潜伏期間を考慮しても極めて長い異例の措置からは、絶対にウイルスを持ち込ませないという執念が垣間見えます。かつて2014年のエボラ出血熱流行時には、最高幹部であった金永南氏がアフリカ歴訪後に3週間も国境で隔離された前例がありました。最高指導者である金正恩委員長への感染を何としてでも防ぐため、側近すら近づけない鉄壁の隔離作戦が、今まさに平壌の裏側で展開されているはずです。
一見すると冷徹で過激な鎖国政策ですが、自国の医療レベルを冷静に自覚した上での、生存をかけた合理的かつ唯一の選択肢なのだと私は考えます。先端医療や十分な医薬品が存在しない国にとって、水際での完全遮断こそが最大の防御に他なりません。平壌の空港でも係員が必死に消毒活動を行う姿が報じられており、国家の存亡をかけた文字通りの「戦い」が始まっています。この封鎖が周囲の国々や今後の国際情勢にどのような影を落とすのか、引き続き世界中から厳しい視線が注がれるでしょう。
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