日本国内において、中国からのツアー客を案内したバス運転手やツアーガイドの新型コロナウイルス感染が、2020年01月28日から2020年01月29日にかけて相次いで判明いたしました。この衝撃的なニュースを受け、全国のバスやタクシーの運行会社では今、かつてない緊張感が走っています。各社はマスクの着用義務化や車内消毒などの予防策を急ピッチで進めているものの、現場の不安を完全に拭い去ることはできていません。
SNS上でもこの問題は瞬く間に拡散されており、「毎日命がけで運転している現場の皆さんが気の毒すぎる」「乗客の感染を目視で判断するのは不可能だから、会社や国がもっと強力なバックアップをしてほしい」といった、労働環境を心配する声が数多く寄せられています。狭い車内という密接な環境で、不特定多数の乗客と長時間にわたって空間を共にする職種だからこそ、世間の関心も非常に高まっているのでしょう。
こうした現場の危機感に対し、2020年01月31日の記者会見にて、赤羽一嘉国土交通大臣は武漢市からの訪日団体旅行に携わったすべての乗務員を対象に、健康診断を呼びかける方針を発表しました。国としても旅行会社を通じて速やかに対象者を把握し、感染拡大の防止に全力を尽くす構えです。しかし、人手不足に悩む地方の交通インフラにとっては、万が一従業員が感染した際の事業継続へのダメージは計り知れません。
観光地を支える運行会社の葛藤と限界
愛知県内にあるバス会社では、年間の乗客の約半数を外国人観光客が占めており、2020年01月だけでも中国からの団体客の利用が10件以上ありました。経営面での打撃を考慮すると、せっかくの乗車予約を断るわけにはいかないという切実な事情があります。そのため、現場では徹底的な衛生管理に頼るほかないのが現状です。多くの運行会社が、経営の維持と従業員の安全確保という板挟みの状態に苦しんでいます。
世界遺産の白川郷と名古屋駅を結ぶ高速バスを運行する「岐阜乗合自動車」では、2020年01月28日から一部の路線でマスクの着用を義務付けました。さらに車内には、高い殺菌力を持つ次亜塩素酸水のスプレーを配備しています。これは菌やウイルスを効率よく除去するために用いられる非常に強力な消毒液です。また、富士急山梨ハイヤーでも、乗客が降りた後にドアノブなどを念入りに消毒する取り組みが始まっています。
このように各社が懸命に対策を講じていますが、ウイルスを100%遮断する画期的な特効薬はなく、感染対策としては「できる限りの換気と消毒」という基本の徹底に留まっています。東京都内のタクシー運転手からも、「お客様が感染しているかは外見では分からない」という率直な恐怖の声が上がっています。見えない脅威と隣り合わせの状況で、最前線の移動インフラを支え続ける現場の負担は増すばかりです。
編集部が考える今後の交通インフラのあり方
今回の事態は、日本の観光業と交通インフラの構造的な脆弱性を浮き彫りにしたと感じています。インバウンド需要、いわゆる訪日外国人観光客による経済効果に依存しすぎていたツケが、このような緊急事態において現場の労働者にしわ寄せとして現れてしまいました。売上を優先せざるを得ない経営陣の気持ちも痛いほど理解できますが、従業員の命や健康を犠牲にして成り立つビジネスモデルは長続きしません。
国や自治体は、健康診断の呼びかけだけに留まらず、運行会社が乗車拒否や運休の判断を柔軟に下せるようなガイドラインや、減収を補填する強力な財政支援を直ちに打ち出すべきでしょう。移動手段を支える労働者が安心して働ける環境を整えることこそが、めぐりめぐって国内のすべての利用者の安全を守ることにつながります。今まさに、現場の最前線で闘う人々を社会全体で支える仕組みづくりが急務です。
コメント