中国の湖北省武漢市から広がった新型コロナウイルスによる肺炎が、猛烈な勢いで猛威を振るっています。2020年1月28日の正午時点で、中国全土の死亡者は106人に達し、感染が確認された患者数は4539名まで膨れ上がりました。前日の2020年1月27日には、ついに首都の北京市でも初めての死者が報告されており、事態は一刻を争う深刻な局面を迎えていると言えます。
この爆発的な感染拡大の背景にあるのが、中国の伝統的な大型連休である「春節(しゅんせつ)」です。春節とは、日本でいう旧正月のことで、毎年この時期には数億人もの人々が帰省や観光のために国内外を大移動します。この未曾有の人口移動が、ウイルスの伝播を加速させる格好の要因になってしまったのは間違いありません。ネット上でも「この時期の移動は本当に恐ろしい」「パンデミック(世界的な感染大流行)の引き金になりかねない」と、恐怖や不安の声が次々と上がっています。
事態を重く見た中国政府は、発生源となった武漢市の交通を2020年1月23日から遮断し、街を事実上封鎖する強硬手段に出ました。さらに、2020年1月27日には海外への団体旅行を禁止する措置を講じ、春節の連休自体を3日間延長することも決定しています。しかし、これらの移動制限が敷かれるより前に、すでに多くの旅行者が国内外へ旅立ってしまった後でした。
その結果、ウイルスの包囲網は中国国内に留まらず、急速に世界へと広がっています。2020年1月27日には、それまで感染者がゼロだったカンボジア、カナダ、スリランカの3カ国で相次いで患者が発見されました。また、韓国やオーストラリア、マカオといった周辺の国や地域でも感染者の増加が確認されており、地球規模での警戒態勢が必要不可欠となっています。
メディアの視点として、今回の政府の対応は迅速に見える反面、春節という大移動の前に水際対策を徹底できなかった点は悔やまれます。感染症対策において、初動の遅れは文字通り命取りになるでしょう。私たちも決して他人事と捉えず、まずは手洗いやマスク着用といった個人の防衛策を徹底し、今後の正確な情報に常に耳を傾ける冷静な姿勢が求められます。
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