中国の湖北省武漢市において、感染症の拡大を防ぐために公共交通機関がストップするという驚くべき事態が発生しました。現地では急速に緊張が高まっており、まさに空港が閉鎖される寸前である2020年1月23日の直行便で日本へ帰国した在留邦人の方々からは、安堵と懸念が入り混じった声が上がっています。SNS上でも「緊迫感が伝わってくる」「無事に帰国できて本当に良かった」といった、現地の状況を心配する多くの投稿であふれ返っている状況です。
2020年1月23日の午後、成田空港の到着ゲートには、マスクを着用して張り詰めた表情を浮かべる乗客たちの姿が目立ちました。現地企業で勤務する57歳の日本人男性は、移動制限のニュースを当日の朝に知ったと語ります。この「移動制限」とは、ウイルスの伝播を食い止めるために特定の地域から住民が出たり入ったりすることを公的に禁止、あるいは制限する厳しい措置のことです。男性は、予定通りの飛行機で無事に帰還できるか本当に不安だったと胸の内を明かしてくれました。
この男性は2020年1月20日から会社が出勤停止となり、買い物すら行けずに3日間も自宅に引きこもる生活を余儀なくされていたそうです。2020年2月3日までは神奈川県内の実家で過ごし、その後は武漢市へ戻る予定ですが、このままの混乱が続けば再渡航できるかは見通せません。仕事への深刻な影響を懸念し、一刻も早く事態が沈静化してほしいと強く願う姿が印象的でした。これほど急激に日常が奪われる恐怖は、計り知れないものがあります。
同じ飛行機で一時帰国を果たした、製造業に携わる48歳の日本人男性も緊迫した瞬間を振り返ります。午前中に武漢の空港が閉鎖されたため、本当にギリギリのタイミングでの脱出劇となりました。空港で足止めを食らっている同僚の身を案じつつ、「自分自身がウイルスに感染していないという保証はどこにもない」と冷静に語り、日本国内でも周囲のためにマスクの着用を継続する意向です。出迎えた49歳の妻は、夫の元気な姿を見て心から安堵していました。
さらに、自動車関連会社に駐在する50代の日本人男性は、現地の経済や生活基盤が完全に麻痺している様子を解説してくれました。前日から街中の商店はシャッターを下ろし、人通りは途絶え、地下鉄やバスといった移動手段も完全にストップしたとのことです。コンビニやスーパーマーケットの棚からも商品が消え去るなど、まさに異常事態と言えます。現地の中国人の友人たちも、楽しみにしていた春節の親族の集まりを急きょ中止せざるを得なくなりました。
日本国内の観光地やイベントにも広がる緊迫感と対策の行方
中国では2020年1月24日から、春節と呼ばれる旧正月を祝う大型連休がスタートします。毎年この時期には数多くの熱烈な訪日観光客が日本を訪れるため、国内の有名観光地はウイルスの流入を防ぐための水際対策や予防策の強化に追われています。毎年多くの中国人観光客で賑わう神奈川県箱根町では、箱根町観光協会が主導となり、各宿泊施設や観光エリアに対して従業員の手洗いやアルコール消毒の徹底を強く呼びかけ始めました。
もし体調不良を訴える利用客が現れた場合には、各施設間で迅速に情報を共有するネットワークも構築されつつあります。観光地のブランドと宿泊客の安全を守るため、できる限りの知恵を絞って感染防止に尽力する姿勢が見て取れます。一方、長野県軽井沢町の「軽井沢プリンスショッピングプラザ」では、1月中旬から2月上旬にかけて訪日客向けの大型セールを展開しており、中国語のウェブサイトには華やかな歓迎の言葉が躍っています。
運営会社によると、連休中は多くの外国人ツアー客の来場が見込まれるため、各店舗のスタッフに向けて書面で注意喚起を行いました。担当者は、手洗いやうがいといった基本的なインフルエンザ対策と本質は同じであるとしつつも、通常よりも一段と高い警戒心を持って接客に臨むよう指導しています。インバウンド経済の活性化を期待する一方で、未知のウイルスに対する見えない恐怖との間で、観光業界全体が非常に難しい舵取りを迫られている印象です。
こうした警戒の波は、地方自治体が企画する文化交流イベントにも大きな影を落としています。大分県大分市は、2020年2月8日に開催を予定していた武漢市との交流事業「武漢点心屋台村」の延期を決断しました。この催しは友好都市締結40周年を記念する大切な節目であり、現地から5人の高名な料理人を招待して本場の味を市民に届ける計画だったため、関係者の無念さは想像に難くありません。
しかし大分市の担当者は、市民の健康と安全の確保を最優先に掲げ、これだけ感染拡大が報じられている中で祝賀イベントを強行するのは時期尚早であると判断しました。この決断は非常に賢明であり、今は何よりもウイルスの脅威を抑え込むことが先決です。官民が一体となって危機感を共有し、過度なパニックを避けながらも徹底した予防策を講じ続けることが、これ以上の混乱を防ぐ唯一の道ではないでしょうか。
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