共働き・単身世帯の救世主!コープさっぽろが挑む「店内調理」総菜のイノベーションと中食市場の未来

北海道の食卓を支えるコープさっぽろが、総菜の新商品開発に本格的に乗り出しました。今回の戦略がターゲットに据えるのは、増加する一人暮らしや共働き世帯です。1品200円前後というお手頃な価格帯を強化し、私たちの日常に寄り添うラインナップを目指しています。SNS上でも「仕事帰りに手軽に買えるのはありがたい」「1人分を作るのは大変だから助かる」といった共感の声が早くも寄せられており、現代のライフスタイルにマッチした取り組みとして大きな注目を集めているようです。

背景には、低価格化が進む外食産業や進化を続ける冷凍食品との激しいシェア争いがあります。コープさっぽろは、現在店舗売上高の1割程度にとどまっている総菜の割合を、積極的な投資によって2割程度にまで引き上げたい考えです。これまでは自社工場や関連会社でパック詰めした商品を店舗へ配送していたため、鮮度の維持や急な需要変動への対応が難しいという課題を抱えていました。その不調を打破するための画期的な一手として、今回の新戦略が始動します。

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鮮度抜群!大型店へ「インストア・キッチン」を導入

待望の第1弾として、2020年2月13日から「コープさっぽろにしの店」で、新設された調理室で作られた出来たての総菜販売がスタートします。これを皮切りに、2020年3月中には札幌市内の6店舗の生鮮部門に調理室を順次新設していく計画です。都市部近郊の大型店舗を主軸として、この「インストア・キッチン(店内の厨房設備)」の整備が急速に進められていきます。売る直前に調理できる環境を整えることで、これまでにない圧倒的な新鮮さを届ける構えです。

コープさっぽろは、すでに手軽に楽しめる総菜やサラダ、カットフルーツなど約50種類におよぶ豊富なお役立ちメニューを開発しています。なかでも水産部門では、若年層を中心に手間のかかる魚介類の調理を敬遠する「魚離れ」の傾向が強まっている点に着目しました。そこで、購入してすぐに食卓に出せる焼き魚や煮魚を中心に、魅力的な新メニューを提案しています。また畜産部門では、ステーキをはじめとする主菜(おかず)のラインナップをより一層充実させました。

さらにお酒のおつまみになるメニューも増強されており、アルコール類と合わせた「ついで買い」を誘う工夫が散りばめられています。農産部門が力を入れるのは、新鮮なサラダとカットフルーツです。店内の調理室でカットしてすぐに売り場へ並べることができるため、長持ちさせるための保存料や薬品による処理が一切必要ありません。水でサッと洗浄するだけで提供できるという、抜群の安全性と安心感をしっかりとアピールしていく方針です。

旬の果物を数種類詰め込んだフルーツパックにも、大きな期待が寄せられています。これまでは平均398円だったパックの容量をあえて小分けに見直し、298円を主力商品とすることで、より気軽に手に取りやすい価格を実現しました。これらの商品は、従来の総菜コーナーだけでなく各生鮮食品の売り場にもそれぞれ配置されます。実際の売れ行きを細かく検証しながら、最も効果的なディスプレイの方法を今後じっくりと見極めていく予定です。

仕入れの一本化で高品質とコスト削減を両立

気になる現場の体制ですが、水産売り場での対面販売を減らすなどの業務効率化を図ることで、調理スタッフを増員することなく従来の人数でスマートに対応します。この改革の根底には、北海道内の深刻な人口動態の変化があります。大見英明理事長が「家庭で料理をしない人が増えている」と指摘する通り、住民基本台帳の統計では北海道の平均世帯人数は約2人となっており、札幌市内に至っては単身世帯が約4割を占めているのが現状です。

大見理事長は「家族構成が劇的に変化する今、スーパーの品ぞろえも柔軟に変革し、新たな需要を確実に掴む必要がある」と強い決意を語っています。これまではデリカ(総菜)部門が単独で行っていた商品開発に、農産・畜産・水産という各生鮮部門のバイヤーが参画しました。これまで部門ごとに分かれていた食材の仕入れを一本化することで、調達コストの徹底的な抑制に成功しています。この縦割りを打破した組織の連携こそが、最大の強みと言えるでしょう。

総菜強化のタクトを振るう鈴木裕子デリカ部長は「生鮮部門がプロの目で選び抜いた一級品の食材を贅沢に総菜へ活用できるだけでなく、一括仕入れによるコストの引き下げにも直結する」と確かな手応えを感じています。保存処理を行わない出来たての総菜売り場は、まるで街のデリカテッセンのようなワクワク感を与えてくれます。「ビュッフェのようにお好みの2〜3品を選び、帰宅後すぐに味わえる構成にした」と鈴木部長が語る通り、手軽さは抜群です。

この取り組みは、必要な分だけを調理・販売するため、近年問題視されている食品ロスの削減にも大きく貢献するでしょう。2019年10月の消費税率引き上げ以降、人々の消費マインドは冷え込みを見せています。しかし、食料品には軽減税率が適用されるため、外食の代わりに自宅でプロの味を楽しむ「中食(なかしょく)」へのニーズは急速に高まっています。総菜部門の売上高は前年実績を上回る好調を維持しており、今後も安定して伸び続けるでしょう。

筆者は、このコープさっぽろの試みを大いに支持します。単なる家事の手抜きではなく、豊かな食生活を賢くサポートしてくれる中食の進化は、多忙な現代人にとってなくてはならないインフラです。厳選された安心・安全な食材が、店内のプロの手によって美味しい総菜に生まれ変わるサイクルは、消費者にとっても大きなメリットを生み出します。地域のニーズを鋭く捉えたこの先進的なビジネスモデルが、北海道から全国へ広がっていくことを期待して止みません。

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