海外旅行や出張の際、現地の治安や災害の情報は誰もが気になる重要なトピックです。外務省は2021年度から、多くの人々にとって身近なコミュニケーションツールである「LINE」を活用し、渡航中止勧告や退避勧告といった非常に重要な海外安全情報の配信をスタートさせる方針を固めました。これまでは外務省のホームページを直接チェックするか、専用のシステムを介さなければ手に入らなかった情報が、今後はスマートフォンの画面に自動で通知される「プッシュ型」として、より確実に手元へ届くようになります。
今回の新たな試みの背景には、2020年初頭から猛威を振るっている新型コロナウイルスによる肺炎への対応が大きく関係しています。感染拡大に伴い、現地にいる日本人の安全確保が急務となりましたが、外務省の安全情報配信サービス「たびレジ」への登録や、現地への在留届の提出を行っていない滞在者が中国国内に数多く存在することが浮き彫りになりました。情報が届かないことで、現地の大使館は安全な情報を周知することに大変な苦労を強いられ、危機的な状況下での迅速な対応に影響が出たのです。
特に中国の湖北省武漢市からチャーター機を運行して日本へ帰国させる際には、現地に留まっている希望者の総数を正確に把握することに多大な時間と手間がかかってしまいました。こうした緊急事態の教訓から、外務省はより簡便に、かつ圧倒的に多くの人々へ一瞬で安全情報を届けるための画期的な手段を模索してきました。そこで白羽の矢が立ったのが、日本国内で非常に高い普及率を誇り、若者からシニア層まで幅広い世代が日常的に使いこなしているSNSアプリのLINEだったのです。
具体的な方法としては、外務省がLINE上に公式の専用アカウントを開設し、一般の利用者に「友だち登録」をしてもらう形式が想定されています。国内のLINE利用者は2020年1月時点で約8300万人に達しており、生活のインフラとして深く根付いています。私個人の意見としても、メールの確認を怠りがちな若い世代や、複雑な登録作業を敬遠しがちな旅行者にとって、ワンタップで繋がれるLINEの活用は、人命を守る上で極めて効果的でモダンな素晴らしいアプローチだと確信しています。
中国のネット規制へのアプローチとこれからの安全対策
しかし、このLINE運用には一つ大きな障壁が存在します。それは、中国国内では政府のインターネット検閲システムによって、LINEをはじめとする海外の主要なSNSの利用が厳しく制限されているという点です。どれほど便利なシステムを日本側で構築しても、現地の通信環境でアプリが動かなければ、最も情報を届けたい危機的状況下で機能しなくなってしまいます。専門用語で言えば、特定の通信を遮断するネットワークの「ブロック措置」が障壁となっている状態です。
この課題をクリアするため、外務省は中国で圧倒的なシェアを誇る現地発の対話アプリ「微信(ウィーチャット)」を利用した情報配信の強化も同時に検討しています。ネット上では「LINE導入はありがたい」「これで海外旅行の安心感が変わる」と歓迎する声が上がる一方で、「中国での規制をどうすり抜けるのか」という冷静な指摘も飛び交っています。状況に応じて複数のアプリを使い分ける柔軟な姿勢こそが、これからのデジタル時代の危機管理には不可欠だと言えるでしょう。
これまでの外務省のシステムでは、「たびレジ」というウェブサイトにメールアドレスを登録し、現地のテロやデモ、大規模な事件などの最新情報をメールで受け取る仕組みが主流でした。しかし、スマートフォンの普及によって、メールよりもSNSの通知の方が圧倒的に閲覧されやすい時代へと変化しています。2020年02月14日現在、この改革は始まったばかりですが、日本の外交機関が時代の変化に合わせて情報発信を柔軟にアップデートしていく姿勢には、今後も大きな期待が寄せられます。
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