真空技術のパイオニアとして知られるアルバックが、2020年2月13日に衝撃的な発表を行いました。2020年6月期の連結純利益が、前期に比べて42%も減少する108億円になりそうだと上方修正ならぬ「下方修正」を発表したのです。従来は17%減の155億円と予想されていましたが、そこからさらに引き下げられる形となりました。
このニュースに対し、SNS上では「液晶の冬の時代がとうとうやってきたか」「5G向けの投資に期待したいけれど、今は耐え時かもしれない」といった、驚きや今後の動向を注視する声が多数寄せられています。
今回の大幅な下方修正に繋がった最大の要因は、主要顧客である中国のパネルメーカーが液晶パネルへの投資を延期したことにあります。現在のディスプレイ市場では、中国を中心に液晶パネルの供給が需要を大きく上回る「供給過剰」の状態が続いており、これが原因でパネルの価格が下落傾向にあるのです。そのため、メーカー側も大型テレビ向けの巨額な設備投資を先送りせざるを得ない状況に追い込まれました。
さらに、スマートフォンなどの画面に採用されている「有機ELパネル」の分野でも、同様に投資を延期する動きが広がっています。こうした背景から、同社が獲得できると見込んでいた全体の受注高の見通しは、従来の計画から380億円も引き下げられて1680億円にとどまる見込みとなりました。売上高についても10%減の1980億円へと、70億円の下方修正を余儀なくされています。
一方で、暗いニュースばかりではありません。IT社会の基盤を支える「半導体製造装置」の分野は非常に活発です。特に、回路の線幅を細くして性能を高める「微細化投資」に対する顧客からの引き合いは、現在も強力に続いています。
アルバックは、これから本格的に浸透していく次世代通信規格「5G」の世界を見据えて動き出しています。スマートフォンやデータセンターの頭脳となる「ロジック(演算用)半導体」や、より高速で大容量な「次世代メモリー半導体」向け装置の開発投資を一段と積み増していく方針です。
先端開発の強化に伴う費用の増加もあり、営業利益の予想は75億円引き下げられ、37%減の150億円となる見通しとなりました。しかし、この一連の動きは未来の成長を確実にするための、前向きな「生みの苦しみ」であると捉えることもできるでしょう。
編集部の視点としては、目先の利益減少に惑わされず、同社の持つ高い技術力と長期的な戦略に注目すべきだと考えています。液晶市場の冷え込みという荒波を受けつつも、来たる5G時代という巨大なトレンドの波を掴むために、今まさに開発の牙を研いでいる状態です。一時的な株価や業績の変動に一喜一憂するのではなく、半導体シフトを進める同社の底力に、今後も大いに期待が集まるのではないでしょうか。
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