人工知能の進化スピードは私たちの想像を遥かに超えています。2020年2月14日、AI開発において人間の関与が減るほど優秀なシステムが完成するという、驚きの経験則が専門誌で紹介されました。これまでは人間が手取り足取りデータを教えていく手法が主流でした。しかし、今や時代は大きく変わりつつあります。ネット上のSNSでも「ついにAIが自らを生み出す時代が来たのか」といった畏怖や期待が入り混じった声が数多く寄せられており、人々の関心の高さがうかがえます。
カナダのアルバータ大学に在籍するリチャード・サットン教授は、コンピューターの計算能力を極限まで活かすことが最善であると主張しています。同教授が2019年3月に発表したコラムは、研究者に大きな衝撃を与えました。その内容は、人間が知識を教え込むよりも、人工知能自身に開発を行わせる「メタ手法」の考案に専念すべきだというものです。自ら学ぶ仕組みを作ることこそが、これからの未来を切り拓く鍵になるのは間違いありません。
この状況を日本のベンチャー企業であるグリッドの曽我部完社長は、学校教育に例えて分かりやすく表現しています。小学校や中学校では、先生が子供に知識を直接教えます。一方で高等教育になると、学び方や思考法を授け、知識は学生が主体的に獲得していくものです。現在の人工知能開発も、まさにこの段階へ突入したと言えるでしょう。人間が付きっきりで教えるフェーズを終え、自立して知性を磨く段階へとシフトしているのです。
最先端を走る「自己教師あり学習」と驚異の自動化技術
データに正解のラベルを貼って学習させる「教師あり学習」は、いわば基礎教育に過ぎません。現在のトレンドは、人工知能が自ら問題と正解を作り出す「自己教師あり学習」や、手元の限られたデータを補う「半非教師あり学習」へと移行しています。企業の現場には、綺麗に整理された正解データなど滅多に存在しません。そのため、自律的に知識を補完していく技術への移行は、実務上の要請からも必然の流れと言えます。
実際に富士通研究所は、2018年4月にこの技術を用いた画期的な成果を発表しました。医療現場における「腎生検画像」から、血液ろ過を担う「糸球体」という組織の場所を特定するシステムです。通常、高精度な画像認識を行うディープラーニング(深層学習)の実現には、数万件もの膨大なデータが欠かせません。深層学習とは、人間の脳の神経回路を模した仕組みで、大量の情報から特徴を自動で掴み取る最先端の技術を指します。
特殊な医療画像は収集コストが高く、大量に用意することが困難でした。しかし同研究所は、正解付きの画像をわずか50枚、正解なしの画像を450枚用意するだけで、見事に高精度な検出に成功したのです。少ないヒントから自ら正解を推測していく能力は、人間の学習プロセスに非常に近くて感動を覚えます。このように、開発の手間を大幅に削減できる技術は、あらゆる産業のDXを加速させる起爆剤になるはずです。
人間を超えた!グーグルとウェイモが実証する驚異の成果
さらに一歩進んだ「メタ学習」の領域では、米グーグルが提供する「Cloud AutoML」が先駆者として君臨しています。メタ学習とは、より優れたシステムを設計する仕組みそのものを、人工知能自身に構築させる最先端の技術です。従来は人間の熟練エンジニアが試行錯誤しながら、システムの複雑さを決めるパラメーターを調整していました。しかし今や、人工知能が別の人工知能を設計し、自動で最適化する時代です。
親となるシステムが子となるシステムを構築し、ゲームのように試行錯誤を繰り返すことで、驚異的なスピードで性能を高めていきます。さらに面白いのは、成果への報酬として「処理の速さ」や「省電力」を設定できる点です。これにより、現場のニーズに即した極めて実用的なモデルが自動生成されます。人間が介在する余地が減ることで、これまで職人技とされていた設計業務が完全に自動化されようとしています。
グーグルの兄弟会社で自動運転を担うウェイモでも、この技術が威力を発揮しました。自動運転車は高性能センサーで周囲の立体形状を把握しますが、その認識システムを自動生成させたところ、驚くべき結果が出ました。人間が設計した初期モデルをベースにするよりも、完全にゼロから人工知能に作らせた方が、エラー率が低く処理速度も20%以上速い優れたシステムが誕生したのです。
人間が良かれと思って組み込んだ先入観や固定観念が、かえって進化の足枷になっていたという事実は、私たちに深い教訓を与えてくれます。開発の手から離れることで真のブレイクスルーが生まれるというパラドックスは、非常に刺激的です。人間はもはや、細かな設計を行う作業者ではなく、進化的探求の方向性を決める役割へとシフトすべきです。人工知能が自らを進化させる未来は、もう目の前まで来ています。
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