【韓国造船海洋が黒字転換】LNG船の受注拡大がもたらした驚異のV字回復と、現代重工業・大宇造船の巨大統合が直面する世界的な独禁法審査の裏側

世界の海をリードする造船業界に、大きな地殻変動が起きています。造船世界最大手として知られる韓国造船海洋(旧・現代重工業)が2020年2月14日に発表した2019年12月期の連結決算は、営業損益が2902億ウォン(約270億円)の黒字となりました。前年の4814億ウォンという巨額の赤字から見事なV字回復を遂げたこのニュースは、業界関係者のみならず世界中で大きな注目を集めています。

この驚異的な黒字化を牽引した原動力こそ、利益率が非常に高いとされる「LNG船」の受注増加です。LNG船とは、マイナス162度という極低温の環境下で液化した天然ガスを安全に大量輸送するための特殊な船舶を指します。高度な密閉技術や断熱技術が要求されるため、建造できる企業が限られており、付加価値が極めて高いことで知られています。さらに、海洋プラント事業における追加工事の獲得も、今回の収益確保を力強く後押ししました。

その結果、売上高は前の期と比べて15%も増加し、15兆1826億ウォンにまで達しています。SNS上でもこの華々しい業績回復に対して、「やはり技術力のある韓国の造船業は底力がある」「LNG需要の高まりを背景に、完璧なタイミングで波に乗った」といった驚きと称賛の声が相次いでいました。エネルギーシフトの潮流を的確に捉えた戦略が、見事に実を結んだ形と言えるでしょう。

一方で、同社はさらなる覇権を握るべく、巨大な組織再編を進めている最中です。現代重工業は2019年に国内のライバル大手である大宇造船海洋の買収を発表しました。新設された持ち株会社「韓国造船海洋」の傘下に両社を収めるという壮大な計画であり、すでに買収完了前であるにもかかわらず、現代重工業に代わってこの持ち株会社を上場させるという異例のスピード感で動いています。

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世界が注目する独占禁止法審査と日本政府の動き

しかし、この巨大な「造船モンスター」の誕生には、クリアすべき高い壁が存在します。市場の独占を防ぎ公正な競争を守るために行われる「独占禁止法(独禁法)審査」が、各国の当局によって現在も進められているためです。決算発表後の電話会見において、財務担当常務の成基鐘(ソン・キジョン)氏は、この審査状況について「順調に推移している」と語り、統合の実現に向けて強い自信をのぞかせました。

それでもなお、先行きを楽観視できない要因が残されています。日本政府は、韓国政府が自国の造船業界に対して過剰な公的支援を行っているのではないかと問題視しており、これが不当な競争を生んでいるとして世界貿易機関(WTO)に是正を申し立てている状況です。同じく強力な造船企業を国内に抱えている日本や中国の審査当局が、この2大巨頭の統合を最終的に容認するかどうかは、依然として予測が難しい局面が続いています。

編集部としては、今回の黒字化は韓国勢の圧倒的な存在感を示す結果になったと感じます。しかし、真の勝負はここからでしょう。一国の政府による支援が国際ルールに抵触するかどうかという「政治的・法的な駆け引き」は、ビジネスの損益以上に複雑です。この巨大統合が世界の造船シェアを塗り替えるのか、それとも各国の反発によって足止めを食らうのか、今後もその動向から目が離せません。

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