九州の経済を支えるものづくりの現場から、少し気がかりなデータが飛び込んできました。九州経済産業局が2020年02月13日に発表した速報値によれば、2019年における九州7県の鉱工業生産指数(2015年を100とした基準)は、前年と比べて2.7%低い104.6に留まったのです。この指標は、地域の工場などがどれだけ製品を作ったかを数値化したもので、エリアの経済的な元気を測るバロメーターとなります。前年を下回るのはなんと6年ぶりの事態であり、ものづくりの島にブレーキがかかった形になりました。
今回の落ち込みは、特定の分野だけでなく幅広いジャンルで受注が減ったことが大きな要因でしょう。全13業種のうち、実に11業種で生産が縮小する結果となりました。特に工場で使われる大型ボイラーや製造用マシーンといった「汎用・生産用・業務用機械工業」の分野では、9.4%ものマイナスを記録しています。このデータが公開されると、SNS上では「地元の製造業が心配だ」「中小企業への影響が気になる」といった、将来の雇用や景気を不安視する声が次々と上がっていました。
しかし、決して暗いニュースばかりではありません。九州の主軸である自動車産業は、海外向けの普通車や国内向けの軽自動車が爆発的な人気を集め、年間生産数が約145万台という歴史上2番目に高い記録を叩き出しました。さらに、スマートフォンに欠かせないIC(集積回路)と呼ばれる半導体チップの生産額も、高機能化の波に乗って4.1%増の約7300億円に達しています。このように、最先端の技術が詰まった花形産業がしっかりと踏ん張っている姿には、九州経済の底力を強く感じずにはいられません。
そんな中、足元では新たな影が忍び寄っています。合わせて発表された2019年12月単月の指数は、前月比3.7%減の101.1となり、同局は景気の全体的な方向性を示す基調判断を引き下げました。SNSでは「中国の旧正月前の駆け込み需要でトランジスタなどの電子部品が伸びたのは救いだ」という鋭い指摘も見られましたが、全体としては半導体を作るための装置が息切れするなど、厳しい年末となった模様です。こうした一喜一憂の展開からは、世界経済の波に左右されやすい現状が浮き彫りになっています。
編集部として何より懸念しているのは、足元で広がりつつある新型コロナウイルスの影響です。現に日産自動車九州が、中国からの部品調達が滞ったことで生産ラインを一時的に止める事態に追い込まれており、現場のサプライチェーン(部品の調達から製造、販売までの一連のつながり)が脅かされています。このウイルス禍が長引けば、せっかく好調だった自動車やICの勢いまで削がれかねません。国や自治体には、地元の製造業を守るための迅速かつ手厚いセーフティネットの構築を強く望みます。
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